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刀剣男士と私の本丸事情
鶴丸目薬の清涼感



本丸に戻った私は、こたつの天板に突っ伏して一人いじけていた。

『ない、この近辺にはコラボの目薬なんて存在しない……うぅ』

バタバタと外から足音が聞こえる。
障子の外から声が掛かった。

「いるかい?」

声の主は鶴丸だ。

『いませーん』

障子を開けて鶴丸が姿を見せる。

『いないって言ってるのに』

「そう拗ねなさんな。入れ違いになったみたいで悪かったなあ」

鶴丸は何か用があるらしかった。

『すねてない、しょげてるだけ』

「なら、しょげているきみに驚きをもたらすぜ」

ほらと四角い何かを手に乗せられる。

「さあ、大うるおいの始まりだ!」

今にも涙で潤いそうな目のことを言っているのだろうか。

『何言ってるの?』

言いながら手元を見ると、さんざっぱら探していた目薬があった。

『はっ!?えっ、嘘!目薬!?』

信じられなくて鶴丸ににじり寄る。

「驚ろいたか?きみの為に買っておいたんだぜ」

嬉し涙で瞳が大潤いになりそうだ。

『めちゃくちゃ驚いた!鶴丸ーっ!ありがとう!!』

ひしっと鶴丸に抱き付く。

「昨日薬局で見つけたのさ」

その言葉に涙が引っ込んだ。

『昨日!?有り得ない、発売日って一体……』

フラゲの事実に絶望した。

「まあまあ、ここに有るんだから良いじゃないか。ほら開けてみてくれ」

鶴丸に促され、気を取り直して目薬と向き合う。

『はあ……うん!』

ドキドキしながら開ける。

『おお!すごい、伊達組がいる』

「箱も中身も随分と凝ってるなあ」

白基調の容器は鶴丸を感じさせるデザインに溢れていた。

『かわいい』

しかし問題は中身だ。

「点してみないのかい?」

清涼感がある目薬を避けてきた人生の私だった。

『点す、ささせていただきます』

覚悟を決めていざ点眼。

『……っ!〜〜っ!!』

「お、おいおい大丈夫か?」

目を押さえて身悶える。

『目が、目がぁ……っ』

清涼感がありすぎて私には到底無理な代物だった。

「驚きは必要だが、そんなにか?」

点してみてと目薬を手渡す。

「おっ、こりゃあ驚きだねえ!さすが俺の目薬だ!」

目をパチパチしながら余裕の表情で自画自賛している。

『あー、パチパチすると鼻に流れるから。点したら閉じる』

1分以上目を閉じるのが正解らしい。

「そうなのか?失敬失敬」

反対側には正しく点眼していた。

『これでクール度8じゃないなんて嘘だ、目薬こわい』

最高レベルの清涼感とは。

「その1段階は俺の優しさで下げられたのかも知れないぜ?」

片目を閉じたままの鶴丸が語る。

『うん、元々の製品のクール度だから違うよね』

真顔で答えるも鶴丸は一向にダメージを受けない。

「なんだなんだー、のりが悪いぞー」




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あきゅろす。
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