刀剣男士と私の本丸事情
大倶利伽羅と万屋へ
――時は令和元年12月13日。
「俺を連れて来ても仕方ないだろうが」
近侍の大倶利伽羅を連れて万屋へとやって来ていた。
『験担ぎだよ、ゲ ン か つ ぎ !』
ほらほらと大倶利伽羅の腕を引く。
『伊達刀を連れてくれば鶴丸の目薬をゲットできる、かも知れない』
目的はコラボの目薬だ。
「慣れ合いは光忠や貞宗とやってくれ」
不満気にそっぽを向く大倶利伽羅を見て、少し感慨深くなった。
『…………』
俺は連中とは違うのだという言葉を聞かなくなって、どれくらい経つだろう。
「なんだ、にやけてるぞ」
『なんでもない』
不服そうな顔を見てほっこりする。
『有るかなぁ目薬』
「鶴丸を連れてくれば良かったんじゃないのか」
それはそうなのだが、鶴丸を連れて来た場合の費用を考えると……
『出費がちょっと痛いかなと』
「……賢明だな」
話を切り上げていざ、目薬コーナーに出陣!
『どこだろう』
「あっちじゃないか」
『あっち?……あ』
陳列を見つけたはいいものの、時既に遅しで綺麗に無くなっていた。
「無いな」
『うん、そんな気はしてた……うん』
万屋へ来るまでに何軒の薬局を回ったことだろう。
「一応聞いてみるか?」
『聞く……』
店主に聞いてはみたものの、数量限定なので次回の入荷は無いとのことだった。
「気を落とすなよ」
『はあ……落とすよ、落ち込む。最後の頼みだったのに……』
頼みの綱が切れた。
万屋でも目薬を買えなかった私は、手ぶらで本丸へと帰還することになった。
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