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刀剣男士と私の本丸事情
愛しい私の付喪神



『……』

同田貫の手が私の腕に触れる。

「っ」

戸惑ったように一度離れて、今度はそっと腕を掴まれた。

「もう隠さないでくれよ」

腕を引かれ、目を覆っていた手が外れる。
涙でぐしゃぐしゃの顔で同田貫と見つめ合った。

『なんで外しちゃうの』

左手で涙を拭う。

「知ってる俺には、見せてもいいんじゃねえの?」

にっと口角を上げて笑った同田貫は、そのままそっと手の甲に口付けた。

――ちゅっ。

『う、そ』

同田貫、あの質実剛健を謳っている同田貫が今キキキス、なんでっ!?

驚きと困惑で涙が引っ込む。

「とめて欲しそうな顔だったからよぉ」

『とまったけど!そうじゃなくて!』

予想だにしていなくて、思考がまとまらない。

「っへへ、俺がこんなことすると思わなかったみてーだな?」

快活に笑う同田貫を見ていたら、なんだかどうでも良くなってきた。

『はぁ……バカ』

「へいへい、照れ隠し照れ隠しぃ」

同田貫正国、私の初めての太刀。

彼は私をよく理解していた。
だから知っていると、傍にいると、わざわざ言葉で伝えてくれた。

愛しい私の付喪神。

『ありがとうね』

言って頬にキスしてやる。

「おいおい今っ!?」

『仕返しー』

立ち上がってこの場から逃げようとする。

「ああおい!扇子落としてるって」

『え』

慌てて振り向いても扇子は見当たらない。

「嘘だよバーカ」

ピンっとおでこを弾かれた。

『あーひどい、痛い』

涙なんてもうすっかり乾いていて。

そんな私を同田貫は楽しそうに見ていた。




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