[携帯モード] [URL送信]

刀剣男士と私の本丸事情
Take2絆創膏は大人の事情



「主」

『なに?』

再度長谷部にぎゅっと抱きしめられる。

「やわらかいですね」

『それは太ったって言いたいの』

「そういう訳ではありませんが……そうですね、最近少し食べ過ぎではないですか?」

なっ、なんだとっ!?

『そんなことない……はず』

「では今日食べたものを教えてください」

それはダメなやつだ。

『朝ごはん、の後におにぎり、お昼ごはん、の後にプリンと羊羮と、それからさっききんつばを』

「食べすぎですね、理想体型はどうしました?」

『だって!美味しいんだから!仕方ないじゃない!』

「……主」

ふにふにと二の腕を揉まれる。

『うひぁやめてぇ、ひーっ』

「俺は気にしませんよ、女性は少しぽっちゃりしているくらいが健康的だ」

優しく笑う長谷部の本心だろう、でもそれじゃあ立つ瀬がない。

『私頑張って体重戻すから!』

「俺はもう少し太っても良いと思いますが」

『私が気にするからダメ、お気に入りのスカートがキツイ時点でアウトだしね』

ぐっと拳を握りしめて決意を新たにする。

『でもそれはそれ、これはこれでね』

首もとに手をやってどうしようかと思案する。

「絆創膏でも貼りますか?」

首に貼ってる時点でもろばれだ。

『隠せてないよそれ』

マフラーを巻く時期でもないし、ここはストールでも巻いておく?

「開き直りが肝心ですよ」

当事者に言われたくない。

『そのままはないからね、ばれても見られたくはない!となると、やっぱり絆創膏か……』

遠い目をしながら救急箱を探す。

「お貼りしますよ」

『はいはいお願いします』



部屋を出た後、国俊に出会った。

「主さん、その首んとこどうしたんだ?大丈夫か?」

心配そうに見つめてくる。

『う、うん大丈夫』

いたたまれない……

「そっか、俺のとお揃いだな!」

へへっと鼻の絆創膏を触って、私の後ろを国俊はついてくる。
ついてくる……どうしよう。

歩いているうちに縁側に眼鏡の保護者、明石国行を見つけた。

「おー主はんやないですか、と国俊も。なんぞ……」

明石の視線が一瞬首の絆創膏を見る。

「ああ、さっき長谷部が主はんを探しとったんですけど、なんぞあったんですか?」

心当たりはない。

『いや何も……あ、ああ!うん、ありがとう!探してくる』

気を利かせてくれたんだろう、脱兎の如くその場から逃げ出した。

「……ああいうのは大人の情事やから、触れんほうがええんやで、国俊」

「はあ?」

去り際にそんなやり取りが聞こえた気もする。

『……はぁー……』

これが数日続くのかと思うと息が詰まりそうだった。

「おや主、どうされましたか?」

『国俊にお揃いって言われてね』

「なるほど」

絆創膏といえば愛染国俊。
……何でつけてるのかは分からないが。

『後ろついてくるし』

「貴女が心配だったんですよ」

それは重々承知してる。

『明石に会えたから良かったものの、突っ込んで聞かれたらどうしようかと』

「ありのままを答えれば良いのでは?」

そんな恥ずかしいこと言えない。

『答えられるかっ』

「照れ屋さんですね」

『誰のせいだーっ!?』

今日もみんなは元気です。



<終>


⇒あとがき

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!