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刀剣男士と私の本丸事情
忠犬レンタル長谷部



『行っちゃったね』

「そうですね、まったく人騒がせな」

よしよしと髪を撫でる長谷部に笑みを漏らす。

『ありがとう長谷部』

「何がです?」

長谷部はいつも飛んできてくれる。
それはきっと、恋人でなくとも。

『いつも気にかけてくれてるじゃない?』

「それは当然のことですよ」

『私が主だから?』

今のは意地悪な質問だっただろうか。

「いいえ、審神者様だからです」

長谷部の返答に、体温が一気に上昇するのを感じた。

「俺の頭の中は、いつでも貴女のことばかりですよ」

『わ、私だって』

上気しているであろう頬に触れられる。

「かお、真っ赤です、可愛いですよ主」

『〜〜〜っ!!!』

何で私ばっかり照れないといけないのかと思いキッと睨む。

『長谷部をレンタルしたいです!』

「っふ、俺でいいんですか?」

完全にからかい姿勢だった。

『長谷部がいっぱい居たらなあ』

「ああそれは便利ですね、指揮も楽に出来る。俺の言うことを聞かない連中は多いですから」

ちょっと想像してみた、うん。

『いいかも知れない』

「全員俺の分身ならいいですよ」

『なにそれ』

くすくすと笑い合う。

「俺ではない俺に貴女が触れられるなんて、へどが出そうだ」

自分じゃない誰かが、自分の姿で長谷部に触れるところを想像する。

『私もそれは嫌だな』

「主」

『なに?』

ぎゅっと抱きしめられる。

「あたたかいですね」

『生きてるからね』

「そうですね」

前髪を掻き分けて、おでこにそっとキスされた。

「いつでもお呼びください、俺はどこへでも馳せ参じますから」

『呼ぶ前に来て欲しいって思うのは、わがままかな』

「いいえ、善処します」

次に頬にキスされる。

『私も呼ばれる前に善処します』

言って頬へのキスを返した。

「俺が探している時はすぐに見つからないので、嬉しいことですね」

貴女は一所に留まっていないので探すのが大変なんですよ、と言われたことを思い出す。

『呼びつけてくれていいんだからね?』

「はい」

あっさりと返事をされた。

『そう言って呼ばない気でしょう?』

「まあそうですね、貴女を探すのも楽しいですから」

急用がある時以外、呼びつけられた記憶がない。
でもそもそも、そんなに人を呼びつける用事なんてないか。

『うん、静かに探してみるか』

「俺のことは呼びつけてください、喜んで飛んでいきますから」

『犬みたいだよそれ』

思わず突っ込んでしまった。

「ええ、俺は貴女の忠犬ですよ」

言いながら顔が迫ってくる。
ちゅっと首筋に吸い付かれた。

『はせ、べ?』

「俺は犬なので、マーキングせずにはいられないんです」

ちゅーっと吸ってる。
くび、首をね。

『あ゛ー!?それはダメー!!!』

長谷部の顔を押し退けてみるも時すでに遅し。

「綺麗な花が散りましたよ」

『長谷部のばかーっ!』

首筋にキスマークをつけられた。
しかも首の真ん中に!
どう隠せと!?

「たまには主張しておかないと、さっきみたいなのは困るでしょう?」

一期への見せしめ?

『困るけど、対処法間違ってるでしょこれは!?』

「合ってますよ」

『合ってなーいっ』



<おしまい>


⇒おまけ


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