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刀剣男士と私の本丸事情
レンタルを考える薬研



「よお大将、何見てるんだ?」

スマホをいじっていると薬研に声を掛けられた。

『ついったーのトレンドをね』

「……伏せ字はしないとダメなんじゃねえか?」

『いいの!それよりコレ』

ほら、と画面を見せる。

「ん?レンタル彼氏?」

『流行ってるんだって』

「ああ、あれか?男娼的な」

『違う、というか薬研の口からそんな言葉を聞きたくなかった』

うわーんと膝を抱え込む。

「悪いな、それで一体何なんだ?」

『お金払って理想のデート……色んな場所に付き合ってもらうみたいな?』

じーっと顔を観察される。

「大将、話題になる前から知ってたな?」

『そ、そりゃあモテない女の嗜みとして?ネットサーフィンしてたら発見ぐらいするでしょうよ』

言い訳をしたら、苦虫を噛み潰したようなすごい顔をされた。

「まさかレンタルしたこ
『無いから!情報として知ってるだけだから!』

「まあ、大将には長谷部がいるからな」

……恋人持ちや既婚者でも普通に利用するんだよだなんて言えない。

『ははは、そもそもお金で時間を買うんだったら物を買うよ!』

愛を買うなら乙女ゲームでも良いじゃない。

「もったいないって?」

『うんうん』

「でもレンタルしてみたいって?」

『うんうん……え?』

「その願い、俺っちが叶えてやるぜ?」

ニヤリと笑った薬研に嫌な予感しかしない。

『はい?』

「野生ゆえはダメだな、年寄り連中は野放しになるから却下だ」

何やらぶつぶつと言い出した。

「よく考えないとな……光忠、いち兄、案外蜻蛉切が適任か?」

面倒見が良い組か。

「楽しく遊びたいなら獅子王か陸奥守当たりに任せてもいいんだぜ?」

ぎゃあぎゃあ騒がしくなりそうな人選だこと。

「希望はあるか?」

甘い誘惑にごくりと唾を飲み込む。

『……は』

「蜂須賀はオススメしないぜ?」

贋作差別の金ぴか美人なんて。

『それは端から断る』

「分かっていても憐れだな」

『長谷部がいるので断る!』

「傾きかけてたがな、説得力ないぜ?」

痛いところをつかれてしまった。

「なんなら俺っちにしておくか?」

『……きゃー薬研かっこいい(棒)』

薬研の今日のこのノリは何だろうか。

『あのさ、はーってして?』

ほらほらと顔を近付ける。

「ん?こうか、はーっ」

案の定お酒の匂いがした。

『ああー……誰が薬研にお酒を飲ませたんだか、完全に酔っぱらい』

「酔っぱらってないぜ?」

よく見ると頬も赤い気がする。

『酔っぱらいほど認めないから』

くるっと薬研に背を向けさせて押す。

『部屋で休んでください』

「俺っちは酔ってないって」

さて、どうしたものか。
困ったときの何とやら。

『はーせーべー、はーせーべー!今ちょっといいー?おーい、はーせーべー!』

大声で何度も呼び掛けると、すぐにドタドタと足音がした。

「はっ、主、ここに」

急いで来てくれたことに少し感動する。

『あのね、薬研が酔っぱらいで』

「は?」

「長谷部のせいで大将に断られた俺っちは、酔っぱらいだと言われてな」

間違ってないんだけど色々飛ばしすぎて意味が分からない。

『どうしようこれ』

「なるほど、酔っぱらいですね」

長谷部は薬研を小脇に抱える。

「っ、はなせ、おろせ」

「部屋に運んできます」

ぽかぽかと長谷部を殴る薬研がちょっと子供っぽくて可愛かった。

『うん、お願い』

「お願い?大将の気持ちはよく分かった、頼んでおくぜ」

何を分かって誰に頼むのか。
相手が薬研本人ではないことは確かだ。

『勝手に補完しないでー』




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