刀剣男士と私の本丸事情
光忠も一緒に馬当番
『でも最初の頃は完全に無視されて寂しかった覚えが』
「寂しかったのか?」
『そりゃあ、せっかく仲間になったんだし!馴れ合いたいじゃないのよう』
口を尖らせて言ってみる。
「それは寂しいとは言いませんよ、構いたかっただけでしょう?」
長谷部が突っ込んで来るが気にしない。
『さーみーしーかったのーっ!』
「馴れ合いは光忠
「やあ、呼んだかい?」
倶利伽羅の言葉を遮って登場したのは光忠だった。
「今更なんだ、俺が来た時には既にいただろう」
長谷部の言葉に驚く。
『いたの?』
「ああ。長谷部くんには気付かれてたのか、でも伽羅ちゃんは気付いてなかったみたいだね」
ぷいっと顔を背ける大倶利伽羅を見るに、当たっているのだろう。
「ちょっと気になってね。あのあと着替えて様子を見に来たんだけど……伽羅ちゃんと仲良くやってたから出辛くて」
あれか、私が顔面押されてたやつ。
『見てたの?』
「見てたというより、聞いてたって言う方が正しいかな」
光忠の手には雑草の入ったバケツがあった。
馬小屋周辺の雑草を抜いていたのだろう。
「なんでもいいが、手伝うんだろう?」
光忠、と大倶利伽羅が言う。
「そうだね、せっかくだし手伝うよ」
バケツを置いて、箒を手にする光忠。
『じゃあ私も』
「主はこちらをどうぞ」
長谷部に籠を渡される。
『これおやつ』
「はい、奥の方は終わってますので」
掃除をさせない気か。
『…………光忠ー、私にも掃除道具』
「はいはい、どうぞ」
籠を置いた私にさっと手渡されたのはブラシで。
『掃除道具ちがうー』
光忠まで掃除をさせない気だった。
「分かってるじゃないか」
「長谷部くんに誉められるとは光栄だね」
あの二人が結託すると最強説……
仕方なくブラッシングに移る。
『小雲雀ー、二人がいじめるー』
「馬にぼやくな、やり方が雑になってるぞ」
同じくブラッシングをしていた大倶利伽羅に怒られた。
『ごめんね小雲雀、ちゃんと愛情込めてブラッシングするから』
光忠と長谷部があーでもないこーでもないと、言い張っている横でブラッシングする。
『ふふ』
「なんだ」
私の笑顔を不思議そうに見つめる大倶利伽羅。
『平和だなーと思って』
戦いに身を置く彼等がジャージで汚れている姿にほっとする。
「そうだな」
『こういうのは嫌い?』
「悪くないんじゃないのか」
ふっと笑みを漏らす姿が珍しくて。
『倶利ちゃん!今笑った!?』
貴重な笑顔を見られたのは今日の収穫だ。
「さあな」
今日も本丸は仲良しです。
<おしまい>
⇒おまけ
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