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刀剣男士と私の本丸事情
具が気になる鶴丸



『はー』

いい天気だ。

皿には未だ中身不明のおにぎりが2個残っていた。

『食べる勇気はないかな』

呟きながらお茶をすする。

「わっ!」

奇声と共に現れたのは鶴丸だった。

『っ!』

こぼしそうになったお茶を持ち直す。

「初心に返って王道を行ってみたんだが、まあまあ驚いたか?すまんすまん」

『こぼしてたら怒ってたよ』

「ははは」

笑いながら盆を挟んだ隣に腰掛ける。

「で、これはいつものアレか?」

おにぎりを見つめて問う。

『うんアレ。食べる?』

アレで通じるから恐ろしい。

「食べるぜ、今日のは何だったんだ?」

確か、長谷部がワカメで鶯丸がにぼしを食べていたはず。

『梅とワカメとにぼしと……おはぎ?』

「おはぎって何だ、あんこでも詰めてたのか?」

こっちは冗談ではなく真面目なのだが。

『そりゃもう白いのにあんこたっぷりで』

白かったのに、ちゃんと黒いのは見えてなかったのに。

「そりゃ驚きだわな」

『ご飯にあんこは嫌だなあ』

「俺は食ってないから何とも言えないな。じゃあいただくぜ」

手前にあったおにぎりをぱくっと食べて、鶴丸は目を見張った。

「おっ、こりゃまた粋だな」

もしゃもしゃと咀嚼する口の端からは、トゲトゲの足がはみ出ている。

『うわぁ……』

イナゴの佃煮のようだ。

「そんな顔しなさんな。うまいぞ?」

食べかけのおにぎりを覗くと、茶黒い物体が……

『いかなごのくぎ煮なら食べるけど、それは見た目がちょっと無理』

食べれば美味しいのだろうが、無理!

「この茶、もらっていいか?」

湯のみは3つ、お茶が残っているのは私のものだけだった。

『いいけど、私の飲みかけだよ?』

「構わんさ」

ごくごくっと飲んで、最後のおにぎりに手を伸ばす。

『これも食べるの?』

「ああ、きみも具が気になるだろ?」

気にはなるけれども。




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