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刀剣男士と私の本丸事情
天然記念物な三日月



『シュメイトアラバー』

最近うちの本丸で流行っている挨拶言葉だ。

「シュメイトアラバー」

縁側で緑茶をすすっている三日月に言うと、同じように返ってきた。

「ふむ、今日は良い天気だな」

『そうだねー』

横に並んで座る。

「茶でも飲むか?菓子もあるぞ」

差し出された木製の菓子器には、煎餅とおこしが入っていた。

『じゃあ煎餅を』

塩味のそれをバリバリと食べる。

「そういえば、江戸の初期くらいの煎餅は小麦で作られていてな。これとは違って甘かったそうだ」

さすが年の功、うんちくだ。

『へえ、銘菓玉子せんべい みたいなもの?』

「ああまさしく。興味があるなら、遠征に行った時にでも買ってくるぞ?」

三日月は小首をかしげて笑う。

『短刀達は喜びそう、じゃあお願いしてもいい?』

「ああ、いいとも」

バタバタと足音がして赤い髪がひょこっと見えた。

「よっ主さん、シュメイトアラバー」

『シュメイトアラバー』

顔を見せたのは愛染国俊だった。

「三日月さんも居たのか、シュメイトアラバー」

「今日も元気だな愛染、シュメイトアラバー」

そうだった、と国俊が三日月を見る。

「長谷部が探してたぜ?まーた何かやらかしたのか?」

「はて、心当たりはないが。行って来るとしよう」

言うと立ち上がって、三日月はどこへともなく行ってしまった。

『あのさ国俊』

「おう……あの人どこに行ったんだろうな?」

長谷部の部屋の方向ではないし、そもそも長谷部の居場所を聞かずにどこへ行くと言うのか。

『さすが三日月』

「さすがと言うか、天然すぎだろ」

天然記念物並みである。




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あきゅろす。
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