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「俺です…」
静かに手を挙げる、僕、悟。なんなんだ?これは罠か?誰か僕を陥れようとしているのか?
ヨシヒサが頭を抱えるのがここからはっきり見える。馬鹿やろう僕だって好きでなったわけじゃないんだっていってんだろばか

「じゃあ結衣とー岡田くんと悟くん、3人ともちゃーんと秘密暴露してってねえ!…じゃあ最初は結衣から〜
!」

「えー秘密ってないんだけどー」

きゃいきゃいとセリカちゃんと岡子がじゃれ合う中、無言のままの僕と、岡田。

「…タンスの角に小指ぶつけろタンスの角に小指ぶつけろ…」

聞かなかったことにしよう


「ちょっとまってーまじで思いつかないよお」

「そしたら昔のこと話せば良いじゃん。なんか過去の恥ずかしかったことーとか悪ふざけーとか」

岡子は口元に手をあて、考え込むそぶりをしてみせる。話すことが既に決まってるような、そんな大袈裟な仕草だった

「悪ふざけかー…じゃあー秘密っていうか…そだなーじゃあ過去のちょっとしたいたずら的なやつ喋っちゃおっかなー。…あれももう時効だよねっ?セリカ」

「あー…ちいちゃんのこと?」

セリカちゃんが髪の毛をくるくる触りながら微笑む。

私とセリカは中学が一緒でえ…から始まったその岡子の話が、後に波紋を呼ぶことになるとはそのときは夢にも思っていなかった。





私とセリカは中学が一緒で、その時からずっと友達なんだけど、私たち所謂クラスの中心にいる感じの女子だったのね。えっ今もそんな感じって?えーそんなことないよーヨシヒサくん、ふつうだってー

でね、みんなウチらのことちやほやするもんだから、ほら…その時は中学生じゃん私たちも。ちょっといきがってるっていうか…なんかぜんぶ思い通りになるんだなーってちょっと思ってたのね。やだあ、今は思ってないから安心してください!どうしよクラスの子に聞かせらんないね

で話はこっからなの、クラスに一人、すっごいキモ…ううん、すっごい変な子、ちいちゃんって子がいてさ、ふふふごめん思い出し笑いでちゃうや。そう、なんか思い出したら笑っちゃうくらい変な子で。顔とか性格がどうとかって問題じゃなくてね、なんていうのかなー。挙動不審を絵に描いたような子だったの。隅っこでいっつも絵描いてて、ぼんやりしてるとおもったら一人でしゃべってたりわらってたりさ。当然クラスで孤立してたし、みんな気味わるがってその子のこと空気みたいに扱ってた。

でもある日ね、放課後セリカと私が教室に残ってるときに、その子もちょうど教室にいて。まあ普通にその子いない感じで話したんだけど、話してるときにたまに視線感じるんだよねーホラーでしょー。セリカもそれ感じてたみたいであのときは露骨に嫌そうな顔してたっけー

そう特にセリカはいやがってた。前から噂があったの、…ちいちゃんがセリカのことを好きって。ちょっとセリカそんな嫌そうな顔しないでよー過去のことでしょー

でもしばらくしてたら段々私たち面白くなってきちゃって。ちいちゃんのことからかいたくなったんだ。
…どうやってからかったのとか聞くのはナシね、さすがにそれはちいちゃんにもわるいしーふふ

で、からかいが過ぎちゃったのもあるんだけど、案の定怒らせちゃって…ちいちゃんがさ、セリカのほっぺぶったんだ。
ぺちん、くらいの力だったらしいから全然痛くなかったらしいけど、セリカ泣き出しちゃうんだもん。おかしかったなー嘘泣きってことにも気付かないで、ちいちゃんセリカ泣き出したらおろおろして逃げるように帰ってったよ。
教室からちいちゃん出て行ったあと、私たちおかしくてめちゃくちゃ笑ったよねー

その次の日ね、セリカ嫌いな人には容赦ないからさー、クラスの人に相当尾ひれつけてそのときのこと話したの。私も私で…ほらその場に居合わせた証言者みたいな口ぶりでセリカの話にのっかって。まんまとちいちゃん加害者になっちゃった。かわいそーだね。

そんなかんじできっかけは些細なことだったんだけど、…次の日からクラスで更にちいちゃんの風当たり厳しくなっちゃって。イジメに近いことっていうか、もうイジメまがいのものまで始まっちゃうんだもん。さすがに罪悪感ちょっと感じたけど、いつの間にかちいちゃん学校にこなくなっちゃったから、すぐ忘れちゃいましたとさっ。

おーしまい。








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あきゅろす。
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