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「えーていうかーヨッシーと岡田くんと悟くんはどんな仲なのー?確か岡田くんたちとヨッシー、クラス違うはずよね?」

セリカちゃんが唇に人差し指を当てながら首を傾げる。うん、僕から見てもかわいい仕草に感じなくもない。やっぱりそんなに悪い子に見えないけどな、岡田の警戒のしすぎじゃないのか?現にさっきから場を盛り上げてはくれてるみたいだし…僕と違って。セリカちゃんの質問の答えをどう返すのか気になって岡田の方に視線を向けると、岡田は我関せずという感じで唐揚げをつまんでるところだった。明らかに答える気がないな、こりゃ。不自然に間が空いた質問の答えに答えるのは、やはり王子のようだ

「えっとお、岡ちんと俺が友達でー、岡ちんとコイツが友達って感じでー、俺とコイツはー」


「他人です」
「きゃははは!えー?たにんー?」

僕が口を挟んだ瞬間、ヨシヒサがじろりと睨みを利かす。え、他人って言ったのはお前じゃないか。それとも会話に口を挟むなってことなのか?わからん、さっぱり王子の考えがわからん。まあさっきもフォローを入れたばっかりなんだから、いらぬ手間をかけさせんなよってことなのかもな、多分。うん、借りがあるし自重することにしよう

「…まあコイツとは正直知り合って日は浅いかな。岡ちん経由の付き合いだし」

僕もヨシヒサに同意するように、素直に首を縦に振る。

「へー岡田くんつながりなんだー。それにしては3人とも仲良さそうにみえるけどなあ」

他の女の子たちも、みえるみえるうと、口を揃える。ペコちゃんはやはり頭を揺らしながら。岡子は当然岡田を見つめながら。…前の人は僕から目を逸らしながら。

「…ま、そんなんどうでもいいじゃん?ってなわけでー?恒例のあのゲーム、やっちゃいましょうか!」

ヨシヒサの謎の提案に、わあと歓声が起こる。岡田でさえも唐揚げ食べながら拍手してるし。元気な人たちだな。どこから取り出したのかいつの間にかヨシヒサの手には割り箸と思われる棒が握られていた。まさか、こんなベタなゲームまじでやってるの?高校生って、えっ

「王様ゲーーーーム!」

ドラマの中だけだと思っていた。やってることは結局みんな同じなんだな。…まあ合コンでかくれんぼとかやりだすよりはオーソドックスでいいと思うけどさ。なんやかんや考えてる内に、ヨシヒサが無言でこっちにも棒を突き出してきたので僕も無言でくじをひく。さすが王子だ、女の子から先にくじを引かせたらしい。ここまで一貫してると皇帝だよ、合コンの皇帝。



嫌な皇帝だな。


「王様ダーレだ!」

「はーい!」
ペコちゃんが元気に手を挙げる。

「わたしだー!やったあっ」

よかった、とりあえず王様をひかずにすんだのは助かった。皇帝みたいに合コン慣れしてないからどんなこと言ったらいいかわかんねえもんなー

「うーん。そうだなーうーん…2番の人があ、一発芸披露!」

おいなんかいきなり親父臭いチョイスきた。慌てて僕は手元を見る。そんな。よりにもよって、ここで僕。しかも一番スベるパターンのやつだろ…ペコちゃん許すまじ…。もうやだ帰りたい。あったかい布団が待ってる我が家に帰りたい。

しかしそんなわけにもいかないのだ、立て、立ち上がれ悟。腹を決めた僕は、ゆっくりと立ち上がる。なんだ、さっきより緊張してないみたいだ。周りの状況が鮮明にわかる。やけにもの思わしげな様子でこっちを見つめる皇帝にも気付く。スベったらころすという気迫が伝わってくるようだ。そんなこと言われても、無理なものは、無理です

「…えっと、俺2番なんで。…ものまねやりまーす」

女の子たちが申し分程度に拍手をくれる。たぶんいま僕は遠い目をしているのだろう。心が驚くほど穏やかだ。よし、


棒立ちのまま、僕は片目を数回瞑る。周りから何のリアクションも聞こえてこないので仕方なく立て続けにやる。


「…なにそれ」

「信号機」

「さーちゃんモノマネする気ないだろ」

岡田の鋭い突っ込みで、どっと女の子たちが笑った。前の人も「ウケるんですけどー」と一応調子は合わしてくれているようだ。ヨシヒサも複雑そうな顔はしているが、怒ってはいないようだし、とりあえずよかった。
予想外のウケにびくつきながらも、着席して一息つく僕。やはり岡田に助けられてしまった、ありがとう岡田。
…口に出して言わないと意味ないのにな

そうこういってる内にも割り箸をさっさと回収され、さきほどのように皇帝の主導でくじをひかされる。お、次の王様は…セリカちゃんだ。

「じゃあねえ、1番と4番と、ついでに5番も自分の秘密を大暴露!」

小悪魔ぽくクスッと笑うセリカちゃん。

「えー!わたしじゃんっ、やなんだけど!」
「…俺だ」

王様の呼びかけに、前の人と岡田が挙手をする。はしゃぐセリカちゃんたちと、不本意だと顔を歪める岡田の温度差、これいかに。あれ、そうだもう一人いるはずだ、

あ、あと一人は…




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