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「うん、まぁね、将来の安定がまぁまぁ保障された安全な道をとるか、自分のやりたいことに向かっていばらの道、…いばらの道だって…ぷ…まぁ未知の世界へ飛びこむのか、今の時期は迷うとこですよ」

いばらの道〜のくだりで何故かゆーくんは自分で自分の言ったことに笑った。

でもゆーくんはゆーくんなりに慰めてくれているらしい。これだけで、この人超いい人だーと僕は思っちゃうんだよなー本当単純ですよ。ゆーくんの思うツボですよ

「そうですかね」
「そうだそうだみんなそーだ」
「ゆーくんもですか」
「や、俺はあんま大学選びは迷わなかったよ」
「説得力ないじゃん!」

親近感湧いた僕が馬鹿だったぜちくしょう

「俺ね、あと2年大学行ったら留学すんだ。そんまま海外の企業で働くつもりで。だから大学の留学の状況を重視して、今の大学に決めたのね。」

ん゛って喉を整えてから、ゆーくんはきっぱり言った。

そうか。あと2年でゆーくんは日本からいなくなるのか。…そうだよな頭の良い人が、こんなちっさい島国で燻ぶってるわけないか。優秀な人材は、もっと広い世界に活躍する場を求めるのが自然の摂理なわけで。でも、なんか、

「…寂しいな」



「えー?なんで君が寂しんだ」

僕の口からぽろりと零れ落ちた言葉を、ゆーくんは笑う。寂しいもなにもまだ会って何週間かしか経ってないのに何を言ってるんだ。

「まぁそんな寂しいなら、ついといでよ」

ゆーくんは片方の口の端を上げて、企むような表情をしてみせた

「え…?」

「ニューヨークの路上でなんか売る人になれば?」
「ああ、ホットドッグとかを」
「うん。そして客には、全て日本語で対応するという営業スタイル」
「日本でやれよって話ですね」

僕がついて行くなんて机上の空論もいいとこだし、冗談で言われてるのは百も千も承知だけど、ちょっとだけ心が軽くなった気がした。
僕が今まで想像もしなかったような広い世界が浮かんで、ワクワクする



「…やっぱすげーよ、ゆーくんは」

「え、どこに尊敬するポイントがあったのさっきの話に」

ゆーくんは少し勘違いしてる。彼の進路選択の話にも無論、感嘆した。…けど僕が今言ったゆーくんのすごさとは、毎度毎度いとも簡単に、僕の不安要素とか、狭い了見を否定してくれるところだ。

でもそれをゆーくんに伝えるのは
なんとなく躊躇われるから。若干の食い違いをもどかしく感じるけど、そこはゆーくんに話を合わせとこう。


「…僕とは違って、なんか、グ、グローバルだし。まだ若いのに未来への展望が明確だし。目に浮かぶよゆーくんが立派なニューヨーカーになった姿が」

同時に、岡田のエロ教師像がまた浮かんでくる。…危うく思い出し笑いするとこだ

「…突っ込みどころ満載だけどあえて全部スルーするね。…んー、君はすごい俺のこと買ってくれてるみたいだけど、実際そーでもないんだよね」

「なんでですか」

「なんでって…俺が海外で働くのは、まぁ一概には言えないんだけど、今の日本よりも大きいお金が動きやすいからであって。国際人になるんだ!とかゆー熱いハートがあるからじゃないよ」




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