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アタリねこ


キャリーの中で丸まったシャミセンのあまりのおとなしさに驚いたのか、些か目を見開いた様子の古泉がシャミセンを見下ろして、

「最初、人間の言葉をしゃべり出したときはどうなるかと思いましたが、どうやらアタリだったようですね。いえ、誤解なさらぬよう。オスの三毛猫というラッキー性だけではなく、ちゃんと物の解った、いい猫という意味ですよ」

猫の群の中からハルヒが無造作に取り上げた結果、こいつがでたというわけだ。そんな万に一の確率でしか発生しない猫を引き当てたなんて奇跡にも近いが、引き当てたのがハルヒなら納得できる。
いっそハルヒに宝くじを買わせたらいいんじゃないのか。活動費の足しになると思うぞ。

「宝くじですか?ははあ…そうですね。それはそれで涼宮さんのことですから、ややこしいことになりそうな気もします。もし彼女が億単位の金を手に入れたら、いったい何を始めると思いますか?」

あまり考えたくないが、ありえそうなセンは腐るほどあるな。あいつのことだから、米軍の戦闘機とか、どっかの敷地まるごととか、屋敷とかでも買い付けてきそうだ。
あるいはSOS団の宣伝費だ。ゴールデンタイムのバラエティやドラマを見ていたら突然『この番組の提供はSOS団と〜』なんてテロップが流れ出すかもしれない。悪化すれば朝比奈さんや名前が駆り出されてプチCMとかな。考えるだけで恐ろしい。

「もしかしたら我々人類にとって、非常にタメになることを考え出してくれるかもしれませんよ。何かの発明資金とか、研究所作りだったりね」

古泉は実にポジティブに考えているようだが、そんな希望的観測はやめたほうがいいと思うぜ。

「名前さんはどう思われます?」

突如話を振られた名前は、驚いたように目を瞬かせて、

「あー…、商店街の福引きとかを引いてもらったいいかな〜、なんて……」

とややズレた答えを出した。

「……コンビニで当たり付きアイスでも買わせよう。これで充分だし、一番平和だ」

パンと手を叩いて提案すれば、名前はそれがいいね、と言って笑う。古泉もしばらくして、それが無難ですね、と言いながら苦笑した。



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あきゅろす。
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