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惨めな気持ち


とぼとぼと見知らぬ道を歩いていると、ふいに頬が熱くなった。
触れてみればかさついた感覚と指先がいやに乾いた血に触れる感覚。気持ち悪い。血は、どのくらい出たのだろう。そこまで出てない、よね。
中学校はどこだろうか、歩いていれば大丈夫だろうか、たどり着けなくてもなんとかなるんじゃないのか、と適当に考えていると、大きな学校が見えてきた。
ここかな、と見上げてみる。校門の前にキョンとハルヒの姿は無い、ということは、既に不法侵入を果たした後なんだろうな。
時間はかけないと言ったわりに遅い、とキョンは思っているだろうか。心配してくれていたら嬉しい。
校門に手をかけ、体を引っ張り上げる。腕の筋肉が震えてがたがたと揺れた。

「っ………」

さっきまでの恐怖が今更甦って、腕がさらにがくがくと震える。
鉄棒の要領で腹を校門の中に滑り込ませれば、あとは足をかけて着地するだけ。
その瞬間、手が汗ですべり、見事校門から体がダイブした。固い地面の上に転がり、反射で体をかばったのはいいものの、左腕と左足が直接ぶつかったせいかとても痛い。

「うあ」

血が出ていた。
怪我しっぱなしだな、と思いつつ、ゆっくり起き上がる。服についた砂を払い、校庭の中心部へゆっくりと足を進める。とても惨めな気持ちだった。
何より、みくるちゃんに嫌われてしまったのだろうかと、その質問ばかりが頭の中で闊歩する。惨めを通り越して自分が哀れにも思えてくる瞬間だ。
だんだん喉がきゅうっとしまって、鼻がツンとして、肩が震え始めた。私、泣いているんだ、と思っていると、背後から声がかけられる。

「あんた、何してんの?」

「…!」

ハルヒがそこにいた。
幼いけれど強気な瞳。細いのに力のある腕。吊りあがった眉は私を警戒している証拠だろうか。




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