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マセガキ攻撃


ガキどもが異常発生したアメンボのように水面をたゆたっているわけであるから、俺たちが五十メートル自由形で競い合っていたとしてもまともな勝負なんてできるはずが無いのである。
ただ、長門だけはずっと潜水でプールの底ぎりぎりを泳いでいたらしいから、余裕で一着だったけどな。
名前はもともと泳ぐのがあまり得意ではないのか好きではないのか、途中でリタイヤしてしまった。というより、子供たちに捕まってしまったという理由もある。朝比奈さんもだが、あいつもなかなか子供ウケのいい奴だ。

「ということでハルヒ、ちょっとけーくんとよっちゃんと遊んでくるから」

けーくんとよっちゃんって誰だ。捕まった子供か。ハルヒはしょうがないわねえ、あんたは失格ね、と言って長門とのタイマン勝負に移りだした。
しばらくしてから女子ユニット(名前除く)は、途中で居合わせた小学生グループと水球遊びを始めていた。俺たちは体躯的にも邪魔にしかならないし、とくにすることもないのでプールサイドで女子たちを見ている。
ちなみに名前はけーくんとよっちゃん、ならびにその友達たちと水中鬼ごっこの真っ最中だった。

「まてえええー!」

「きゃあー!」

ちなみに最初の勇ましい叫び声が名前である。
そりゃ高校生のおねえさんと小さな子供では体力的に大きな差異があり、あっさりつかまってしまった子供たちは一塊になってきゃっきゃと楽しんでいた。あの年頃は遊ぶのが仕事みたいなもんだからな。

「おねえちゃん、つよいよう」

「ふっふっふ、ゆーたくんもなかなかだよ」

おお、あの子はゆーたくんというのか。
この年頃の子供たち、中でも男の子たちにはナイスバディなお姉さんに興味を持ち始める奴もいる。朝比奈さんにまとわりつくガキどももいたのだが、それはハルヒが制裁をくわえることによって撃退させられていた。
しかしそんな用心棒のいない名前は、子供たちにいいようにされている。

「ねーちゃんだっこして」

「あっ、おれもおれも」

おいこら、ガキども。
魂胆丸見えなんだよ、マセガキめ。わかっているのかいないのか、素直に抱っこしてやる名前も名前だ。そのときの俺がどんな顔をしていたのかはわからないが、少なくともいい顔はしていなかったらしい。それか面白い顔でもしていたか。隣の古泉が、ふっと笑った。

「なんだよ」

「いえ、失礼。……そんな顔をなさるのでしたら、助けに行かれてはいかがですか?」

そんな顔ってどんな顔だ。

「生憎鏡を持ち合わせていませんので。ああ、ほら」



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