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ペナルティ!


キョンの荷台に乗っかって、私は記憶を引っ張り出していた。
確か、えーと、うーん、十七日じゃなかったっけ。エンドレスエイト。もしかしてもう、とっくのとうに二週間は繰り返しているのかもしれない。今回が初めてだと思ってても、実はもう100回は軽く繰り返しているのかも。
前を行くキョンの背中を見る。今回、キョンは何も言わなかった。ということは、まだ既視感が現れていない証拠だ。まだ10000回はいってないだろうと予想をつけて、駅前を見る。自転車置き場からでもよく見えた。あーあ、皆揃ってるや。
自転車を置いてキョンと並んで歩く。

「お前、ちょっと俺より先を歩け」

「は?なんで?」

「いいから」

キョンに言われるままに半歩先を歩いた。なんか変だなあ、と思いながら進んでいると、姿を見つけたハルヒがこちらを見て眉を寄せる。あーあ、おごりは決定だな。

「遅いわよ、キョン、名前。もっとやる気を見せなさい!」

財布の中に余裕はあったかな、と考えながらハルヒを見ていると、当のハルヒはぷんすかと怒りながら叫んだ。

「みくるちゃんも有希も古泉くんも、あたしが来る前にはしっかり到着してたわよ。団長を待たせるなんて、あんた、何様のつもり?ペナルティよ、ペナルティ。あ、でも名前はキョンより半歩先を歩いてたからいいわ。ペナルティはキョンだけね」

「へいへい」

え。

驚いてキョンを見上げたけど、キョンは私を見ないでさっさとみくるちゃんたちのほうへ歩いて行く。まさかキョン、最初からこのことをわかっていて?
何か言わなきゃ、と思って追いかけようとしたら、不意に誰かから腕を掴まれた。

「わっ?」

前のめりになる体を、腕を掴んでいる誰かが留める。
ゆっくり振り返ると、そこには有希が立っていた。

「……へ、ゆ、有希?」

「…………」

有希は私の腕を掴んだまま微動だにしない。高校の夏服がひらりとはためいて、有希と私の髪の毛が風に流れる。ひんやりと、温度を感じさせないようなゆるやかに冷たい温度が、私の表皮をわずかに冷やしていった。

「どうしたの?」

「…………腕を」

腕?



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