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特別な十七日


切れた。
エネルギー満点の声を聞き入れて、ああ今日もハルヒは元気だなと感慨深げに考える。俺のエネルギーは見事吸い取られてしまったようだ。
野球観戦をしていた名前がこちらを見て、

「ハルヒ?」

と問いかけてくる。

「ああ。二時に駅前に集合だと」

全く、面倒臭いね。と、軽い愚痴をこぼすと名前は苦笑した。それから持参物を伝えた俺は、名前が奇妙な顔をしていることに気付く。

「どうした?」

「あ………、いや。今日って、何日だったかと思って、ね」

いつぞやも聞かれたような気がするな。そうだ、確か八日だった。いやな予感がばりばりと背中を走り抜けて行くのもなんとか堪え、俺は今日の日付を口にする。

「十七日だが?」

「……………うわ」

うわ、って何だ、うわ、って。
なんだその、やっちまいましたみたいな顔は。まさか今日か。今日何かあるのか。そういえば八日もこんな気持ちになったっけ。既視感だ。

「あ、いや、ごめん。なんでもない。気にしないで、キョン。さて、準備しますか!」

名前ちゃんどこかに行くのー?と金魚の糞のようについていく妹を遠い目で見つつ、俺も準備に取り掛かることにした。あいつのヒントめいたものは事実的にあんまりヒントになっていない。ただこれから何か起こるということを示唆されているだけで、それに対して俺が何か出来るかというとノーだからな。
ヒントというよりは、きっかけと言ったほうがわかりやすいだろう。
洋服箪笥から目当てのものを探しつつ、俺はクーラーのガンガンにきいた部屋から出ることに対し激しい抵抗感を感じていた。ちなみにエコノミーモードだかなんだかのついたクーラーは、八日だけ無駄に故障していたらしく、今は元気に稼動している。
準備物を適当な鞄に突っ込んで、名前の部屋をノックした。「はあーい」と間延びした声の数分後、名前が元気よく部屋から出てくる。

「じゃ、行くか」

「おうとも!」

ハルヒ並みに元気のある名前を荷台に乗せて、出発した。



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あきゅろす。
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