[携帯モード] [URL送信]
回転木馬に撮影機器


「ふゃっ………ひっ……きゃんっ!」

なんとも愛らしい悲鳴を上げながら、朝比奈さんが馬の首に抱きつく。
朝比奈さんの乗った馬の前を走る馬に乗っている長門は、静かに取っ手を掴んで微動だにしなかった。
そしてその前を走っている馬に乗っている名前とハルヒ。「どうせなら二人で乗ったほうがスリルがあるわ!」ということで二人乗車なのだが、いいんだろうか。いいんだろうな。
古泉と俺は謹んで遠慮しておいた。男がメリーゴーラウンドに乗るのは恋人と一緒のときか子供を連れているときだけだ。と、俺は勝手に決めている。
いくら人が少ないからって、乗れるほど人間出来ちゃいないんだよ。

「楽しそうですねえ」

「じゃ、乗って来い。可及的速やかに。俺は止めん」

「さすがにこの状況で乗れるほどの度胸はありません」

笑顔で拒否した古泉は、どこからともなくカメラを取り出した。どこかで見たような形と色をしている。

「お前、それ………」

「ああ、これですか。涼宮さんのものですよ。今日、機会があれば写真を撮るようにと言われていたので」

ハルヒのものって言っても、もともとどっかの部活のデジカメじゃなかったっけ。強奪したやつ。強奪した現場に立ち会ったのはパソコンのときだけなのでこのデジカメがどこからパクられたのかはわからないが、とりあえずそれはハルヒのものではないと言っておこう。

「ていうか、なんで撮影係がお前なんだ」

「その疑問には僕はお答えできませんね。涼宮さんに直接お聞きになってください」

めんどくさいからいいや。

「そうですか」

会話が終わった。
メリーゴーラウンドはそんな問答を繰り返しているうちにも回り続けているわけで、ついに三週目に回ったらしい。相変わらず天使のような悲鳴を上げている朝比奈さんに、微動だにしない長門、楽しそうにはしゃぐハルヒと名前。あいつあの様子だとジェットコースター平気だな。

「次はジェットコースター行くわよー!!」

「おうよー!どんとこーい!」

無駄に二人は盛り上がっているが、後ろでおびえている朝比奈さんのことも少しは考えてやれよ。
メリーゴーラウンドでもこんなにおびえる人が、ジェットコースターに耐えられるはずがないからな。



前*次#

7/18ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!