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電車の中で


集合場所である駅に向かうと、既にハルヒたちは集合していた。
私服を着こんで、出かけますと全身で主張しているようだ。

「遅い!」

時計は集合時間の五分前を指している。まあ、毎度のことだし気にしない。今回は何をおごらされるんだろうか。とはいっても、入場料だけは払わないでいいのだから安心だ。

「あと十五分で電車が来るから、切符買って来なさい」

「はーい」

言われるままに名前と切符を買いに行く。これもなんだか新鮮だ。
ハルヒたちは既に切符を買っているらしく、俺たちの後ろで改札口を見ていたり運賃表を見ていたり、とにかくどこかを見ている。

「買ってきたよー」

「じゃあ、ホームに行くわよ」

言われるままに改札を抜け、ホームに向かった。さすがに平日のこの時間帯は人が少ない。

「人が少ないっていいわね」

「だねー」

すっきりした表情で空を見上げているハルヒと名前を見下ろしていると、アナウンスが入った。電車が来るようだ。
やってきた電車のボックスを二つ占拠して、男子と女子で分かれる。ハルヒの隣に名前が座り、長門の隣に朝比奈さん。俺と古泉は向かい合わせだ。

「一時間くらいはヒマだから、遊びましょ」

ハルヒが言いながらお菓子やら手軽なゲームやらを取り出しているが、俺たちはすることがないので外の景色を眺めていなければいけない。全くもって、ヒマだ。



数分後。
いきなり静かになったな、と思い、顔を横に向ける。バカみたいにはしゃいでいたハルヒが、名前の肩にこてんと頭を預けて眠っていた。
朝比奈さんもこくりこくりと首を傾けている。多分、あと数分もしないうちに長門に頭を預けることになるだろう。

「…寝たのか」

つとめて小さな声で言うと、名前は小さく微笑んだ。
通路側に座っている名前が小さな声で、「食べる?」と言ってお菓子を差し出してくる。ありがたく受け取り、古泉と分けて食べた。
もしかして、ハルヒも眠れなかったんじゃないだろうか。俺みたいに。確実にその可能性が高いのだが、電車の微振動で眠りが誘発されたのかもしれない。
名前がほほえましいものを見るような目でハルヒを見つめた。このときは、ハルヒが妹みたいに見えたんだよな。



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