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遊園地知識


「明日学校を休んで、遊園地に行くのか?」

「そうよ。チケットの有効期限見てみなさい」

言われたとおりにチケットの裏面を見てみた。なんと、期限は明日までである。どうしてこんなギリギリのものを福引なんかで出したのか。店側の嫌がらせか。

「というわけで、明日しか行けないのよ。理解できた?」

「……まあ、なんとか」

せっかくもらったチケットだ、できれば有効に使いたい。
俺の返事にハルヒは満足したようで、チケットをすべて回収すると、明日のプランを大雑把に説明して帰って行った。
残された俺たちは明日について談笑する。

「休むっていっても、無断で休んだら家に連絡が行くよねえ」

「オフクロに明日は休むって言っておけばいいだろう。深く追求されても、事情を話せば許してくれるはずだ」

残った玉露をすべて飲み干し、名前が満足げに頷いた。
朝比奈さんは椅子に腰を下ろして、遊園地について考えている。

「えっと…その、ゆうえんちって、どんなところなんですか?」

未来に遊園地が無いような言い方だな。夢が無い未来になってしまったんだろうか。

「うーんと、「遊」ぶ公園の「園」の「地」って書くんだけど、だいたい文字通り、遊ぶ場所だよ」

「どんなもので遊ぶんですか?」

「えーっと、ジェットコースターとか、メリーゴーランドとか、観覧車とか、お化け屋敷とか……」

「…?じぇ…?」

全くわかっていない朝比奈さんに名前は苦笑を浮かべた。こればっかりは言葉では伝えられないというもんだろう。

「百聞は一見にしかず、だね。でも、すごく楽しいところだよ!」

簡潔にまとめた名前の言葉に、朝比奈さんは笑顔で頷いた。それにしても、遊園地が無い未来、か。いったいどういう状況でそうなったのかは知らないが、名前が変わっただけか、それとも遊園地自体がなくなったのか。そこらへんはかなり気になるな。

「有希は、遊園地行くの、初めて?」

本を閉じて話に参加していた長門が顔を上げて、定規で測らないとわからない程度に頭を傾ける。まあそりゃ、初めてだろう。そもそも長門が作られたのが三年前で、そこからずっと待機モードだったか、そんな状態だったわけだから。遊園地なんて場所にこいつが自ら足を運ぶのも考えづらいし。
知識としては知っているのだろう、朝比奈さんのように疑問の表情を浮かべるわけでもない、淡々とした言葉で、

「遊園地とは『メリーゴーランド、遊戯用電車その他の遊戯設備を設け、主として当該設備により客に遊戯をさせる施設をいう。』と定義されている」

と、先ほどの朝比奈さんに対する回答のようなことを口にして、口を閉じた。
…まあ、そこらへんは本当に、百聞は一見にしかずですよ、朝比奈さん。



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あきゅろす。
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