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元気印と女流監督


「キョンくんっ。みくるどうしたのっ?」

長い髪の毛をサラリとなびかせて一言。ザコキャラ三号…なんて呼び名をつけるのはあまりにも失礼であり、似つかわしくない美しい方だ。名を鶴屋さん。
いつぞやハルヒの馬鹿が野球に興味を持ったとき、試合の助っ人として来てくださった方である。
朝比奈さんが「この時代でできた友達」と言っていたから、彼女には特別なスキルは無いと思われる。古泉からも特に何も言われていないし、ほぼ百%の確率で一般人なのだろう。
鶴屋さんはハルヒとはまた違った、しかし属性は同じと思われるような笑顔を浮かべて、

「それでさっ、何やんのっ?ヒマなら来てって言われたから来たけどさー。涼宮さんの腕に付いてる腕章は何て読むのあれ?そのハンディビデオをどうするの?有希ちゃんのあの恰好なに?名前ぷーの制服ウチのじゃないよねっ?」

矢継ぎ早に質問を浴びせてきた。
ちなみにハルヒの腕章はちょうかんとくで、ハンディビデオは撮影に、長門のあの恰好は悪い魔法使いだからで、名前ぷー…(恐らく名前のことだろうが)の制服は朝比奈さんの対抗馬としてキャラ作りのため(だろう、多分)です、と俺が答えるべく口を開きかけたその瞬間、鶴屋さんは瞬間移動かと思われるような速度で古泉まで接近していた。

「わお、一樹くんっ!今日もいい男だねっ」

なんてことを言っているわけで。つまりはまあ、せわしない人なのだ。
一方ある意味でせわしない人元祖のハルヒは、携帯電話に向かって般若のような形相を浮かべて怒鳴っていた。

「何言ってんのよ!あなたは主演なのっ!この映画の成功は三十%あなたにかかってるの!七割はあたしの才能だけどね。それはいいの!なんですって?お腹痛い?バカっ!そんなイイワケが通用するのは小学校までよ!すぐ来なさい三十秒で!」

まず突っ込むべきは、お前の才能はマイナス50%で、残りの150%は朝比奈さんのおかげである。仮にこの映画が成功すると考えての話だが。
あと腹痛は高校でも効くぞ。こないだ保健室行ったときにそんな奴がいたし。
おまけに朝比奈さんの家がどこにあるのかは知らないが、仮に近いとしても三十秒で来れるはずが無いだろう。まずはハルヒ、お前が実践してみろよ。
などと俺が心の中で呟いていると、ハルヒは「もうっ!」と叫び、憤然と携帯を切った。
朝比奈さんが突発性引きこもり症候群にかかっていたと言われても俺は驚いたりはしないだろう。当然の結果だ。

「お仕置きが必要だわ!」

ハルヒはぎらぎらと大きな瞳を剣呑に光らせ、拳を握った。いっぺんでもいいから朝比奈さんの性格とハルヒの性格が入れ替わってみたらいい。まあ、ハルヒみたいな性格になった朝比奈さんはあまり見たいとは思えないが。




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あきゅろす。
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