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疲労蓄積


悪夢の翌日。疲れが取れず、まともに身動きできない上に筋肉が外出を拒否するという事態に見舞われた俺は、それでもハルヒに逆らって余計な事態を招くことは好ましくないと判断し、ベッドの上から這い出る。
本音を言えばまだ眠りたいし、撮影なんてしたくない。こんなにも拒絶反応が出ているというのに、悲しいかな、世界はあいつの手にあるのだ。

「キョンくーん」

妹の声が聞こえて、俺はのっそり顔を上げた。起こしに来たのだろう、ドアを開けて、床に伏している俺の姿を見て目をきょとんと丸める。

「キョンくん、起きてたー」

そう言いながら踵を返し、下りていった。こら、ドアは閉めなさい。
かと思えば今度は入れ違いのように名前が入ってきて、俺の姿を見て哀れんだ表情を浮かべる。

「……大丈夫?」

「……大丈夫だ。お前も、大丈夫か?」

「いや、私は平気だけど。起きれる?もうご飯の準備できてるよ」

「おう……」

だるい体に鞭を打ち、とりあえず顔を洗いに階下へ行く。洗面台の鏡ににいかにも疲れています、といった表情を浮かべた俺がうつり、ああなんてかわいそうなんだ俺、と一瞬考えてしまった。
しかし、なぜ名前はあんなにもけろりとした様子だったんだ。微塵も疲れていないような雰囲気さえ出ていた。しかし、昨日あった出来事は精神的にも体力的にもだいぶつらいようなことだと思うんだが。俺だけか?

キッチンに向かうと、先に名前は朝食を食べていた。横に座って少し見下ろしてみるが、やはり特別疲れているという様子は見られない。
しかしその顔はどこか気鬱な雰囲気を醸し出していた。どうしたというんだ。さっきまでの雰囲気とは一転して、もう外に出たくない、そんな顔だ。
しかし俺はそんな名前に対して、「これから何かあるのか?」とか、「何かいやなことでもあったのか?」なんてことを聞かなかったわけで、それがまた問題を呼ぶのだが、このときはそんなことに気づきもしなかった。そもそも気づけるわけもないのだが。



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