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SOS団出し物


「みくるちゃんとこは?何すんの?」

「えー……と。クラスでですか?焼きそば喫茶を……」

タメ口であるハルヒに対し、敬語で話す朝比奈さん。慣れてしまった光景なのだが、慣れすぎたせいで時折朝比奈さんが年上だということを忘れそうになる。
彼女は一体これでいいのだろうか。というより、本当に彼女は年上か。それすら疑いたくなってしまう、かわいらしい外見。その優しい性格を、十分の一でもいいからハルヒに分け与えてあげてくださいと言いたくなる。

「みくるちゃんはウェイトレスね、きっと」

「どうしてわかるんですか?」

俺だってわかったさ、と心の中で呟きつつ、朝比奈さんのいれたお茶を飲む。ちびちびと有難くいただいている俺の目の前でハルヒはぐいっと飲み干した。もっと有難がれ。

「古泉くんのクラスは?」

「舞台劇をするまでは決まったのですが、オリジナルを演るか古典にするかでクラスの意見が二分されてましてね。もう文化祭まで時間がないというのにいまだに揉めています」

「ふーん、有希は?」

「占い」

どうしてこうも各クラスはありとあらゆるジャンルを見事に考え付くのだろうな。その活力をぜひとも五組に分けてもらいたいものだ。俺は今頃教室で国木田と頑張っているだろう名前の姿を思い浮かべた。…そういえば、二人きりなのか。あいつら。

「ちょっとキョン、何顰めっ面してるのよ。有希が占いするって言ってるの聞いてた?」

「…聞いてたさ。お前が占うのか?」

「そう」

長門が占いか。俺はそれを想像してなんとなく薄ら寒い気持ちになった。あいつなら淡々とした口調と無表情で笑えない真実を口にしそうだからな。
長門に未来予想ができるかはわからないが、もしできるのだとしたら適度に嘘も混ぜておいてやれよ。人間っていうものはちょっとしたことにもビクビクするものなんだ。
それなら皆の出し物を合わせて観劇占いアンケートなんてどうだ、と提案した俺を、ハルヒは怒ったような顔で一蹴した。

「アホなこと言ってないで、さくっと会議を始めるわよ」

突然朝比奈さんが書記にされたのだが、ハルヒ的には以前から決まっていたことらしい。ここらへんもなぜか理不尽を超えた理不尽というか、とにかくいつも以上にハルヒのわがままっぷりが激しい。いつものことだろうが、今日に限ってなぜか無駄にイラッとした。
怒っていたかと思えば、ハルヒは今度は勝ち誇ったような表情を浮かべ、叫ぶ。

「あたしたちSOS団は、映画の上映会を行います!」



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