ファイリングプリーズ
「苗字さん、そっちの1年生のアンケート集計できた?」
「うん。そっちにファイリングしてるから見ておいてー。あとそこにある緑色のファイルに先生のインタビュー資料とか入れておいたから、それも」
「ありがとー」
時計を見上げた。
まさかの4時13分。ちなみに部活が終わるのは5時となっている。
だいたいハルヒが解散宣言をするのが5時前後なので、もし今から頑張って終了させたとしてもせいぜい4時30分、そこからSOS団に向かってもできることは…、ほぼない。
「苗字さん、キョンたちのところに行きたいんだったら行っていいんだよ?」
「………ううん、いいよ。国木田くんを放っていけますか!」
「はは、なんかかっこいいね」
ペアが国木田くんで本当に良かったと思う。下手に知らない人と組まされたところで、作業は進まなかったと思うから。さすが国木田くん、というか。頼んだ仕事はきっちりやってくれるし、それどころではなく頼んでもいないのにさっさとするべき仕事を見つけてやってくれるのだ。
(私、年上なのに……)
申し訳ない気持ちになって国木田くんをそっと見上げてみた。私がさっきかき集めてきた先生達の資料に目を通している。女の子みたいに可愛らしい顔をしているけど、なんだかある意味もてそうな顔をしてるよなあ。って何を考えてるんだーい私は。
「あ、この資料使えそうだね。じゃあ、青色のクリアファイルに入れておくから、本採用に使おう」
「そ、そうだね!ありがと!」
見てたのを見られていたらどうしよう、と気付いて急いで視線をはがしたのだけど、気付かれなかっただろうか。
国木田くんは私の近くにあった緑色のクリアファイルを手に取り、一枚一枚丁寧に入れていった。
「それにしても、またわけのわからないアンケートだね」
「そうだねえ。岡部先生の趣味かな?なんでこんな質問にしたんだろ」
広げられた紙を見つめて私は小さくため息を吐く。岡部先生が全て提案して話を進めていってくれたけど、乱雑に情報を集めすぎたのか、むちゃくちゃだ。
アンケート用紙に数点書かれた質問を見下ろし、それから岡部先生の顔を浮かべてみた。あまり、好んで思い浮かべたいとは思わないかな。
私を推薦した人、恨むよ…。なんて考えつつ、纏めたプリントに穴を開けた。
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