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座標軸の移動


援助がどうとか言っていたが、一体何を援助するというのだ。
随分前の話になるが朝倉に襲われたときと同じような状況に陥るのであれば非常にありがたいが、それならば現代の長門がとっくのとうに言ってくれているはずだ。

「急進派の襲撃などの荒事ではない」

「じゃあ、何なんだ?」

「…………」

喋るつもりはない、とでも言わんばかりに長門(大)の口が閉じた。

「その内容は言えません。来るべきときが来たら……キョンくんが、正しく動くことができれば。そのときに、長門さんが力になってくれます」

「と言うことは、二人ともこの時代に留まるということですか?」

「いえ。私はもう戻らなければなりません。ただ、長門さんはこちらに残ります」

現代の長門が察知してややこしい事態になりそうな気もする。
それかむしろ現代の長門のところで寝食を共にするのだろうか?

「現代のわたしでは感知できない座標軸をポイントし、そこで待機する」

頭の中に疑問符が浮かんだ俺を見かねたのか、朝比奈さん(大)が簡単に説明してくれた。
話を聞くところによると、破壊されたプログラムの中に人間やその他の存在の座標軸を感知できるものがあるらしいが、そのプログラムが壊されるごとに一部感知ができなくなるらしい。
修復すれば別の感知されない座標軸に移動し、また移動を繰り返し……ということをして、現代の長門に未来の自分を感知されないようにするのだとか。面倒だな。

「もっと楽なやり方はできないのか?」

「ない。こちらの情報をロックしアクセス不可にすることは可能だが、存在自体の消失・隠蔽は不可能。感知された場合、今回の案件に現代のわたしが介入しなければならないことになる。それは回避すべき」

「どうして」

「足手まとい」

他に理由があるのか、といった響きを含む呟きが、あっさりと長門の口からこぼれた。



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