未来の宇宙人
気付くって、何をですか?
と問いかけるべく口を開いたその瞬間、頭にピンと何かがきた。
朝比奈さん(大)の協力者、普段見慣れない服装、決して履くはずのない靴。見た目自体はほとんど変わらない、髪の毛の長さだって恐らくこのくらいなのではないかと思うし若干の不安が残るが、朝比奈さん(大)がおかしそうにほほ笑んでいるのを見るとだいたいの予想がつく。
「未来の――長門、ですか?」
「そう」
返答は朝比奈さん(大)ではなく、長門がした。いや、ここでは長門(大)のほうがいいのか?
「正確に言うと、この時代から数年先の長門さんね。年数までは答えられないんだけど」
なるほど、未来の長門とは。
しかしわざわざ未来の長門を呼ばなくても、この時代の長門で用は十分足りたのではないだろうか。
「今のわたしから過去のわたしにアクセスできない。現代のわたしは保存されていたデータ約五十と不可欠なプログラム四個が破損している状態。あなたの援助をするに値しない、脆弱なレベル」
「それは……どういうことだ?」
「あのね、キョンくん。あなたと長門さん、二人で世界間の移動を行ったでしょう?帰ってから、長門さんの様子を見ました?」
「ええ、いくつかシステムエラーやバグがあるけど大丈夫、とかなんとか……」
プログラムが破壊された、ということも確かに言っていた気がする。けれど修復可能と言っていたし、そこまで重くは考えていなかった。
まだ、修復できていなかったのか。
「修復と同時に破壊が繰り返され、プログラム同士の接続や連結を行うことができない。個々でのプログラム起動は可能だが、今までのように複数の行動を同時に行うといったことができないため、……非力」
表す言葉を探すように間を置いて、長門(大)がポツリと呟いた。
そんな状態になっていたなんて、ちっとも知らなかった。言ってくれれば、と思わないわけではないが、言ってもらったところで俺にできたことなんて一つもないだろう。
だからこそ、今俺ができることをやらねばならないのだ。
「それで、未来の長門はなんで今、ここに?」
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