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別荘かくれんぼ


別荘とやらは、なんというか普通というか、平凡というか、一般的というか……。とにかくそんな言葉が似合うと言ってもいいのやら、失礼な言い方になるがその通りというか、まあ複雑なのだが平凡だ。
どこにでもありそうな別荘、といえば一番わかりやすいだろうか、俺が想像していた純金でできた門とか、像があるわけでもなし、ハルヒが想像していたおどろおどろしい雰囲気を醸し出しているわけでもなし。

「うーん。思ってたのとかなり違うわね。見かけも重要な要素だと思うんだけど、この屋敷を設計した人はちゃんと資料を参考にしたのかしら」

設計した人は資料に忠実に作ったに違いないさ。お前の脳内設計図はドアの隙間から手が伸びてたり、ある部屋の窓だけ真っ赤とか、そんなんだったんだろうがな。生憎だが、世間一般での別荘っていうのはこういうもんなんだ。
名前はヘラヘラと楽しそうな表情を浮かべ、あちらこちらに視線を向けている。その後ろに待機するように立っている長門も、心持ち表情を緩めて別荘を見ているようだった。

「別荘広いなあ…かくれんぼとかできるかな」

「好きにしろ。俺はやらん」

「キョン、ノリ悪い」

うるせい。
第一別荘まで来てやることがかくれんぼって、どんな小学生だお前は。
それとも別荘に来た感動で脳内だけ幼児退行しているとでも言うのか。だったら俺は必死でお前の精神年齢を元に戻す努力をするさ。

「名前、あんたかくれんぼなんてしたいの?子供ねえ」

俺の言葉を珍しく代弁したハルヒは、腰に手を当てて呆れた表情を浮かべる。

「でも、やりたいもん。楽しいよー、なかなか」

もんって、お前。高校1年生にもなって…。うん、そうだな。今はやっぱり年下に見える。若返ったみたいって言ったらわかりやすいか。でも、驚くほど大人っぽい表情も浮かべるんだよなあ。
俺は軽く首をひねって名前を見下ろした。





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あきゅろす。
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