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データ補整プログラム


ドきっぱりと言われたので、逆に頭がすっきりした。そうか。俺は、何の役にも立たないのだと。

「解析を続ける」

「……そうか」

よろしく頼む、と言うことくらいしかできない。
長門はことん、と首を傾け、何かを考えている様子。もしかするともうすでに、解析とやらを始めているのかもしれない。
ならば俺はもう教室へ向かおうか、と部室の扉へ向き直ろうとしたところで、ひんやり静かな声が落ちた。

「待って」

「…………?」

「もう一つ」

まだ何かあるのだろうか。これ以上自分の無力さを知らしめられると結構苦しいものがあるのだが。

「あなたはもう気付いているはず。それでも、注意して」

「何をだ?」

「苗字名前の存在を認識しているのはわたしと、あなた。他の者は誰一人として彼女を覚えていない。涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹も例外ではない」

それは、なんとなくだが察していた。妹もおふくろも覚えていなかったのだから。
でも、なぜ俺だけ覚えていたんだ?長門が覚えているのはなんとなくわかるが。

「データ補整プログラム。彼女自身が恐らくは無意識のうちにかけたものと思われる。発動対象は、この銀河系に存在する全ての生物。わたしには、情報統合思念体への相互データ移送中にプログラムが作動。しかし、相互データの移送中には一時的にデータの改竄を防ぐためプロテクトをかけているため彼女のプログラム作動が遅延し、難を逃れた。あなたへのプログラム作動は、わたしが未然に防いだ」

なぜ俺だけ?他の奴らは防げなかったのか?

「間に合わなかった」

長門がどこか申し訳なさそうに呟く。



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あきゅろす。
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