過去のこと:彼
「目が覚めたらね、お母さんがいたの」
いつだっただろうか、そう聞かされたことがある。こちらを見ないで、どこか遠くを見つめるその瞳が妙に悲しそうだったのを、なんとなく覚えていた。
「遅刻するから急ぎなさいって言われて急いで制服を着るんだけど、北高のじゃなくて、
通ってた学校のものなんだよね」
その制服は過去に何度か見たことがあり、それを着た名前の姿も鮮明に思い出すことができる。
「学校も、北高じゃなくて普通の学校。通ってたところ。教室に行ったら友達がいて、挨拶をして、席に着くの」
その夢を見てから飛び起きたのだという。それ以降寝なかったのか、目の下に隈ができていた。
「……キョンも、ハルヒも、皆いなかった」
そんな夢を見たのだと、いつだったか。
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