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カメラ片手に天使


「えーっと。できれば簡潔に、それでいて詳しく教えて欲しいんだけど。共犯ってなに?」

「簡潔に。そうですね、あなたは僕たちの未来を知っている。それ即ち、僕が孤島で起こす事件のこともご存知、でしょう?ですから、名前さんには『こちら側』のお手伝いをしていただきたいのです」

「なるほど、共犯ですか」

つられて敬語になりつつ、古泉くんの言葉にうんうんと頷く。
確かに、どちらかと言えばそっちについた方が1粒で2度おいしいと言いますか。最初から知ってるシナリオをなぞらえるのも楽しいだろうけど、何も知らないことをする方が面白いだろうし。

「じゃあ、森さんや新川さんの手伝いをしたらいいってこと?」

「本当に全て知られているようですね。不思議な気持ちです。…いえ、そういった給仕はいいんです。そうですね、わかりやすく言えば…、僕の助手的な立ち回りをしていただきたい、と言いますか」

「…うん?」

古泉くんは困ったように笑った後、上げていた人差し指を下ろす。それから顔の前で指を組み、その上に顎をのせた。優美な仕草に思わず見惚れる。

「まず先に謝罪させていただきます。失礼承知で…。そうですね、できれば僕の近くに居てほしいのです。そして、できる限り彼や涼宮さんにヒントを与えないようにして欲しい。うっかり彼の近くにいたら、あなたは喋ってしまいそうですから」

「あ、いやいや、失礼なんてとんでもない。まあ確かにキョンの近くにいたらボロ出すことうけあいだね。わかった!じゃあ、事件が起こってからは、私は古泉くんの近くにいればいいんだね?キョンたちから離れて」

「はい。さすが、話のわかる方で大変助かります」

いやいやそんな。うん?今のは褒め言葉でいいんだろうか。いいんだろうな。そう受け取っておこう。
古泉くんは「長々と申し訳ありませんでした」と言うなり、立ち上がる。それから私の手を取って、また元いた場所に戻り始めた。飲みかけのジュースを急いで飲み干し、ゴミ箱に捨てる。

「あ、名前ちゃん、古泉くん………」

キョンたちがいたスペースまで戻れば、みくるちゃんがカメラ片手に立っていた。
酔いは治ったのだろうか、と問いかけようとしたところで、みくるちゃんの視線が一心に私と古泉くんの手に寄せられていることに気づく。…あ、そういえば古泉くんが引っ張ってくれたから、イコール手繋いでるみたいな感じなんだけど。

「えっ、ふわっ、えっと、その、あたし、何も見てませぇん!」

「みくるちゃん誤解誤解!!」

咄嗟にフォローを入れたのに、何の加勢も無かったのはどういうことだい古泉くん。



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あきゅろす。
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