解決に至るまで
古泉の話によると、これ以上進んでも大した収穫はなさそうだから引き返してみてはどうか、ということだったので、さすがのハルヒも古泉の言うことにはそう無碍な返答もできず、引き返すこととなった。
「次はこちらに」
むやみやたらに歩き回るよりは、古泉について行ったほうがずっと正確であるということは皆知っていることなので、おとなしく古泉についていく。思えば、こいつが先陣を切ってどこかに行くというのは珍しいことだった。案内役をさせられて前へ出る、なんてことは今までも何回かあったが、自分の意思で前に出る、ということはしなかったように思うからな。
そこから五分ほど歩いたところで、
「くぅーん」
またルソーの前進拒否が始まった。白いもふもふとした体が小刻みに震えているのが見えて、俺ですら心苦しくなるのだ。朝比奈さんや名前の感じる悲しみはいかほどのものなのだろう。
「やっぱり、川なんじゃない?ホラ」
心を痛めてはいるのだろう、少し申し訳なさそうな顔をしたハルヒが指をある方向へ向ける。土手の斜面が視界に入り、川というキーワードが再び頭の中に浮上してきた。
「これでだいぶ解ってきました。もう一か所ほど回れば確実ですね」
古泉は何やら自信ありげにそう言って、また進みだした。古泉の向かうところへついて行き、数分。
「くぅ〜〜〜ん」
またも、ルソーが拒否をした。回を増すごとに声の悲しさが増している気がして、胸がちくちくと痛む。阪中がもう帰りたそうな表情を浮かべ、ルソーを抱き上げた。内心で俺たちに依頼をしたことを後悔していなければいいのだが。
「なるほど」
ほぼ全員がルソーに対する憐れみや心配に包まれている中、古泉は一人合点がいって清々しい、とでも言わんばかりの表情を浮かべていた。満足げにうなずいて手元の地図に何やら書き込みを入れている。そろそろ説明のひとつでもくれんだろうか、不安になってきた。
「どういうこった?」
聞きたかったのと、古泉が聞いてほしそうだったのを考慮して問いかけを一つ。くるりと振り返った古泉は、朗らかな笑みを浮かべたまま地図をこちらに向けた。
「まずはこちらを見てください」
何かの通販番組で使われてそうなセリフだな、と思いながら地図へ視線を向ける。赤いペンでところどころに印がつけられていた。こりゃ何だ、なんて言うほど俺も馬鹿ではない。先ほど俺たちが回ってきたルートで、ルソーが拒絶を示したところだ。
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