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孤島で合宿
 
 
連想ゲームに近い形で夏をテーマに考えている朝比奈さん。を、見ながら実に楽しそうに笑っている名前。お前、変なところで悪趣味だな。
古泉にいたっては傍観に徹することにしたようだ。ニコニコと表面上は邪気の無い笑顔のまま、名前のように朝比奈さんとハルヒを見ている。

「うみ、うみ、えーと……あっ、お刺身?」

「全然違うわよ。夏からどんどん離れてるじゃないの。あたしが言いたいのは、夏休みには合宿に行かなければならないってことよ!」

ついに痺れを切らしたのか、言いたいことを口にしたハルヒはふんと鼻を鳴らした。
俺は横目で古泉を見る。古泉がついさっき口にした、「ハルヒからの重大発表」とはこれのことかと目線で訴えたが、果たして本気で返答してくれるのか。

「合宿だと?」

「そ、合宿」

およそ運動部とは関係の無いSOS団が、なにゆえ合宿という奇異なものをする必要があるのか。その答えは俺が出せる。「ハルヒがしたいから」だ。
特にこのメンバーで拒否するのは俺くらいだろうし、今回の合宿は何があっても施行されるな。遠い目をする俺を名前が気の毒そうな顔で見てくる。だったらハルヒを止めてくれ。

「合宿ね……何のだ?」

「SOS団の」

「だから何をしに行くんだよ」

「合宿をするために」

まるで頭痛が痛い、腰痛が痛いとでも繰り返すアレなご老体のような言葉を繰り返し、ハルヒはまるで当然のことだろうと胸を張った。俺には何を理解すればいいのか、それすらも理解できなくなってしまったようだ。

「どこに行こうと言うつもりだ」

「孤島に行くつもりよ。それも絶海のっ、ていう形容詞がつくくらいのとこ」

絶海…絶海ねえ。おまけに孤島だと?冗談じゃない。
そんな、いかにも謎がありますという場所に行けば、もともと有り余って溢れて誰かに配り歩いても配りきれないハルヒのエネルギーが、最大限に発揮されてしまうではないか。
俺は再び名前を見た。なんとも言えない、例えば遊園地で子供が風船をもらったかのような、嬉しそうな顔をして話の続きを吹聴している。…こんな無邪気な笑顔を壊すことなんてできるか。
俺は長い溜息をついた後、ハルヒに体を向きなおした。孤島に行くのは、どうやら規定事項のようだしな。




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あきゅろす。
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