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Q.盂蘭盆会って?


有希にも、と弁当を持って立ち上がった名前を一瞬見て、俺を見て、朝比奈さんが呟いた。

「そういえば、涼宮さんは?遅いですね」

朝比奈さんが口にした言葉に、俺は思い出さなくてもいい昔の思い出を思い出してしまったかのような気持ちになる。

「先ほど学食でお見かけしましたよ。感嘆すべき健啖でした。食べた分がすべて栄養に回るのだとして何エルグになるのか想像もつきません」

そうか。いちいち想像する必要はないと思うぞ。
呆れた俺に問答を繰り返す古泉、ちまちまと弁当を頬張る朝比奈さん、ぱくぱくと健康的に弁当を頬張る名前。ああ今日も平和だな。
…なんて思っていると、たいがいぶち壊す存在が現れるんだ。

「よし、みんなそろってるわね!」

ドカンと一発、敵陣に大砲をぶちこんだかのような声を轟かせ、ハルヒが乱入してきた。
それから必要も無いのに名前の弁当に気づき、例の卵焼きを頂戴している。「名前、あなた料理が上手だわ!料理長に推薦してあげる!」お前の推薦でいったいどこにいけるっていうんだ。
団員が揃っている事実に感嘆したかのように語りだしたハルヒは、いかにもどうでもよいことを続けた後、不意に朝比奈さんを見て、まだモゴモゴと手作りのオカズを咀嚼している彼女に問いかける。

「みくるちゃん、夏と言えば何?」

「えっ」

まだ噛み切れていないのだろう。口を手で覆うその姿は実に愛らしい。愛らしいのだが、なんだか小動物の頬を無理矢理膨らませていじめているような気持ちになるのはなぜだ。彼女が小動物のようだからだろうか。そうなんだろうな。

「夏ですか……。うーんと、盂蘭盆会……かなあ」

いやに古風な答えに、ハルヒはおろか名前でさえ目をぱちくりさせていた。

「安居の最後の日、旧暦で七月十五日を盂蘭盆とよんで、父母や祖霊を供養し、倒懸の苦を救うという行事ですよ」

わからない名前にこっそり耳打ちをする古泉を微妙に睨みつけ、ハルヒに視線を戻す。当のハルヒは「ウランボン?何それ。クリムボンの間違いじゃないの」とこれまた奇怪な返答をしていた。



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あきゅろす。
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