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頼もしい言葉


名前は一息置くと、今度は長門へと視線を向けた。まだ静かな怒りを身にまとわせている長門が、名前をそっと見返す。

「……回りくどいのはやめましょうか。会長は最初に、文芸部として機能していないと仰いましたね」

「……ああ」

「ですが、唯一文芸部員である長門さんはきちんと活動していますよ。毎日定時刻まで本を読み、感性を磨いています」

……おお、そうきたか。
そりゃ、いくら長門が宇宙人で、あらゆることが規格外で、SOS団の活動にいろいろと貢献しているんだと言っても会長はそれを知らないわけだから、「文芸部員として毎日本を読んで感性を磨いているから立派な部活動だ」と言われてしまったら反論はできないよな。

「文化祭での展示はどうした。部活に所属している者の義務だろう」

「あれは部活ごとに文化祭展示・発表参加の権利を持っている、というだけで義務ではなかったはずですが。文芸部の展示も、彼女1人でするには大変ですし、今回は見送りという形にしたのでは?」

「生徒会に不参加の通達は来ていない」

「では、参加の通達はあったんですか?」

「…………!」

すげえ、会長が黙った。そうだ、SOS団の映画を取るときに、長門が部費を自由に使えとハルヒに渡したそうだが、文芸部としての参加表明はしていなかった。おまけにハルヒは無理やり上映場所をもぎ取ったから、部費以外での援助は一切していないと言い切れる。
だが、部費のことを持ちだされたらどうするんだ?

「だが、本来ならば文化祭で大半使用するはずの部費を部活動以外のことに使っただろう」

ほーら来た。
さあどう返すんだと思った瞬間、まるでその答えをあらかじめ用意していたかのように(まるでじゃなく事実その通りなんだろうな)、名前が言った。

「ええ、それに関しては私も問題だと思います。そのため、次年度の文芸部活動費を削減するのはどうでしょうか?もし文化祭での展示を行うのであれば、その時は生徒間の有志を募って活動費を賄うので、生徒会、ひいては学校にお世話になることはなくなると思いますが」

古泉かお前は。
いつものハルヒに対する万能イエスマンが、今は名前に発揮されていた。ぺらぺらと口からついて出る頼もしい言葉の数々に、会長が押されている。



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あきゅろす。
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