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反論できない内容


「キミの提出した同好会設立申請書は見せてもらったよ。あれは失笑ものだった」

人の神経をわざと逆なでするような言葉にムッとしていると、それを狙ったのだと言わんばかりに笑われる。フン、といちいち鼻にかけるような笑い方にさらにムッとしたのが読まれたのか、落ちついてと言いたげに背中をはたかれた。

「第一、キミはあんな活動に時間を割く余裕があるのかね?勉強はしているのか?放課後のんきに遊んでいられるほど成績に余裕があるようには見えないが」

「…………」

そりゃ毎度低空飛行の成績だが、そんなものはいちいち言われんでもわかっていることだ。
まともに返せる言葉も浮かばずただ会長から発される言葉の数々をひたすら耐えたが、我慢しきれずまた言葉を遮ってしまう。

「やり口が汚いんじゃないか。SOS団の活動そのものが気に食わないなら、ハルヒを呼んで話を聞きゃいいはずだ。わざわざ文芸部を潰すような真似をする必要はない」

恥ずかしい話だが、ここは俺が下手に言い訳を続けるより、ハルヒを呼び出して片づけてしまうほうが一番良い気がした。子供が大人に噛みつくような俺の言い訳より、ハルヒの強引さで論破してもらったほうがなんとかなるだろうよ。相変わらず長門と古泉は何も言わないしな。

「何を勘違いしているのかは知らないが、文芸部の部長を呼び出すのは当然のことだろう」

だが、俺の言葉はやはりきれいに切り捨てられてしまった。最初から俺に言われる言葉をシミュレートしていたとしか思えない素早さだ。

「そもそもSOS団は学内に存在しないからだ。違ったかね」

「…………!」

予想だにしないことを言われて言葉が詰まった。……いや、嘘だ。本当は、そうきたか、と思った。同好会設立申請書を出したが、それが正式に認められたわけではない。部室だって、文芸部室を勝手に占拠しているだけだし、プレートの上に適当な紙を貼り付けただけだ。
つまるところ、生徒会長の言葉に反論は、できない。

「反論は無いようだな。では、後日改めて通告書を渡す。詳細はそれで確認するように」

結局、無言で怒っていた長門はそれきり視線を俺から外した。生徒会長は、用事は終わったとばかりに俺たちに背を向けて、背中で「出て行け」と語る。なにか、何か言わなけりゃ本当にあの場所は取られちまう。どうすりゃいいんだ、どうすりゃ……!

「……あの、すみません」



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