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宇宙人の怒り


「…………」

長門、終始無言。
話を聞いているのかいないのか、どうでもいいのかなんなのか。とりあえず、生徒会長を見返してはいるものの、実際何を考えているのかは理解できない。

「長門くん、と言ったか」

いつまでたっても口を開かない長門に追い打ちをかけるように、会長がとげとげしい声を出す。威圧感と言うか、圧迫感のある雰囲気を出す人だな。

「部員でもない者を部室に置き、今まで放置していた責任はキミにある。おまけに今年度割り当てられた文芸部の活動費、あれはどこに使われたのかね。文化祭で発表された映画か?しかし、あの映画のクレジットには文芸部とは入っていなかった」

それを言われるとつらいものがある。反論の言葉も出ないぜ。
がしかし、クレジットを見たということはきちんとあの映画を最初から最後まで見たということだ。いや、クレジットだけを見た、か?どちらにせよ、そういう裏付けを取るような行動をきちんとしているあたり、ヘタに言い返すこともできない。

「暫時、現文芸部は休部とする。来年度、新しい部員が増えるまで文芸部室は入室禁止だ。まあそれも部員が入れば、の話だが。……もし文句があるのならば言うといい。聞くだけは聞こう」

俺はもちろん何も言えなかったし、長門も何も言わなかった。が、静かに口を閉じて何やら考えているらしい長門がなんとなく、そう、俺や古泉、名前という長い間一緒にいたやつらには解る程度に、

(……たぶん…そうだよな)

怒っている。
もの珍しい長門の様子に、驚くより感嘆した。いや、長門が「怒っている」と自己申告したわけではない。し、表情に出したわけでもない。だが、身にまとう雰囲気というかオーラというか、とにかくそういったものがいつもより鋭いのだ。
このままだと何かがヤバいことになりそうな気がする、と直感で悟って、まだ何事かを言っている会長の言葉を遮るように言った。

「ちょっと待ってくれ、突然そんなことを言われても困る」

穏便に行こうと思ってはいたものの、つい癖で乱暴な口調になってしまう。いや、癖ってものは恐ろしいね。立場的に上に立つ者には敬語を使うようにならねばな。って今はそんなことどうでもいい。

「今まで放っておいて、この時期になって急に言うのはおかしいだろう」

「キミは何を言っているのだ」

俺の必死こいてひねり出した反論を、会長はスパリと一言で切ってのけた。



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あきゅろす。
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