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文芸部の存在価値


振り返った会長は、古泉のアイドル顔とはまたちょっと違った方向の、なかなかにハンサムな顔をしていた。ただし目つきが鋭く、こちらに好意的な視線を送っていないためか、非常にとげとげしい雰囲気を感じる。ほぼ反射で、仲良くなれそうにはないなと思った。するつもりもほとんどないが。

「古泉から聞いているとは思うが……ん?」

本題に入ったのを悟り思わず体が強張る。が、会長が発した言葉は妙なところでぶつ切れになった。

「君、何の用かね」

突然俺に指をさされ、いや呼び出したのはあんただろと突っ込みかけた口を急いで閉じる。どうやら俺の背後、名前のことだったらしい。結局古泉から連絡はなかったが、連れてきちゃだめだったのか?

「え、あの、私は」

「彼女は、少し前にご連絡した苗字名前さんですよ。いても問題はないとのお言葉をいただいているはずですが」

「ああ、五組の……」

しどろもどろに自己紹介をしようとした名前の言葉を遮って、古泉が会長に声をかける。きちんと事前連絡をしていたようだ。はっと気付いたような顔をして、会長が眼鏡のブリッジを押し上げた。と、ここで初情報だが会長は眼鏡を着用している。どうでもいいか。

「ならば、本題に入ろう。文芸部のことだが」

今度こそ、と思い身構えたが、ニコニコと(今は若干抑え気味なものの)しまりのない表情をした古泉と、本当に呼び出された自覚があるのかと問いたくなる程度には無表情、かつ無関心そのものを具体化した長門に挟まれちゃ気合いが入らないぜ。後ろにやや緊張気味の名前がいるからか、多少の緊張感はあるが。

「現在、文芸部は有名無実化している。今後の活動について、生徒会から最後通告をしようと思ってな」

最後通告と言われても、今まで通告された覚えがないのだが。もしや俺のあずかり知らぬところで、ハルヒや長門にその話が来ていたんじゃないだろうな。いや、ハルヒはあり得ない。もし一度でも通告が来ていれば、その時点で生徒会に殴りこみ、もしくはそのような行為に出ていたはずだから。
もし長門に通告が来ていても、長門が自主的にその旨を俺たちに言うことはほぼない。実質、通告無視の状態が続いていたということだ、たぶん。

「もはや部として機能していないだろう。そう思い、我々も多方面から考えてみたが、現在の文芸部に存在価値は見出せない。よって、無期限休部を通告する。すみやかに部室を引き払いたまえ」



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あきゅろす。
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