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生徒会長


その後鶴屋さんは、生徒会長に関するわずかな情報を教えてくれ、いざ問題が起きそうになったら味方になる、と頼りになる発言を最後に颯爽と去って行った。

「鶴屋さんが味方につくと、怖いものが激減するよねー……」

「本当にな……」

つまり逆に言えば、彼女が敵側につくとえらいことになる、ということだ。みなまで考えたくもない。
まあ、たとえどんな難関に立ち向かうことになっても、隣にいるこいつだけは必ずこっち側についてくれるんだろうな。そんな、妙な確信を持ってしまうほどには俺自身こいつを信頼している。

「キョン、そろそろ……」

「ああ、そうだな」

いつまでも生徒会室の前でウダウダしたって意味がない。とりあえず、中に入らんことにはどうにもならん。名前を背後に隠し、扉をノックした。そういえば古泉から結局何の連絡もなかったが、こいつは連れてきても良かったのか?まあいいか。

「入りたまえ」

部屋の内側からこちらまで届いてきた声に、背後の名前がびくりと震えた。なんと言うか、洋画の吹き替えでもできそうな渋い、かつ腹に響く声だ。失礼します、と声をかけて扉を開くと、入口付近には古泉と長門が突っ立っていた。ならば俺が一番遅かったということだな。

「どうも。……先ほどぶりですね。よく来てくれました」

お前に褒められてもたいして嬉しくないわ。という突っ込みは心の中に封じて、俺は部屋の奥に立っている男子生徒へ視線を移した。
背は高い……と思う。窓の外を見ているので顔はわからないが、すらりとしたモデル体形だ。古泉と似たような雰囲気を持っている。
さらに視線を移せば、長テーブルにノートを広げて待機している女子生徒も。夕日のせいでうまいこと顔が見えないが、ノートを広げて待機と言ったら書記くらいしかいないだろう。

「会長」

いつになっても喋らない会長に、古泉が涼やかな声をかけた。

「お呼びになられた人員は揃いました。御用件をどうぞ?」

「よかろう」

よかろうって。
さっきの入りたまえと言いよかろうと言い、妙に渋い言葉のチョイスをする人だな、とぼんやり思った。



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あきゅろす。
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