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旅は道連れ


呼び出されたのが長門ならばハルヒを呼ぶまでもないことは明白だが、あいつに知られると確実について来るだろう。それを考えると、確かに黙っていたほうがマシな気がする。

「わかった」

了承の意をこめてそう返せば、古泉はほっとしたように息を吐いた。浮かべている笑顔も若干ほんわかした気すらする。

「では、放課後涼宮さんに悟られないよう、生徒会室に来ていただけますか?」

「ああ、わかっ……」

先ほどのようにするっと答えようとしたところで気づいた。え?生徒会室行く?俺が?

「なんで俺が!」

呼び出されたのが長門で、その情報の詳細を古泉が伝えにきたのはわかる。が、俺が行くのはまたちょっと話が違うのではないだろうか。
普通に考えれば当然とも言える俺の主張を真正面から受けた古泉は、はて、と言わんばかりの表情を浮かべた。ちなみに長門はここに来てから一切表情が変わっていない。
なにやら言おうと古泉が口を開いた瞬間、背後でしまっていた扉が開く。五組の生徒が出てくるのだ、と察して体が勝手に動いたが、目の前にたつ古泉は意外なことに微動だにしなかった。それどころか、友好的な笑みを浮かべる。

「おや、名前さん。こんにちは」

振り返れば、見慣れた顔。

「こんにちはー。なんだ、キョンを呼び出したのって有希と古泉くんだったんだ?」

昼食を食べ終えたらしい名前がそこに立っていた。大方国木田か谷口が何か言いでもしたのだろう、さして驚くことでもない。
名前はその面子を見てだいたいのことを察したのか思い出したのか、はあはあと軽く頭を上下させて、にこりと笑みを浮かべた。

「わかったわかった。じゃ、ごゆっくり」

「待て待て待て!」

なーにがわかったわかっただ。
教室に帰ろうと踵を返した名前の後ろ首をつかんで止めた。ふぎゃっ、と小さな声を上げて立ち止まったのを確認すると、背後から腕を伸ばして扉を閉める。
何か文句を言いたげに見上げてくる名前を見返し笑ってみせた。こうなりゃ道連れだ。



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