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生徒会長の役割


「いえ、そうではありません」

俺の意見をあっさりとスルーした古泉は、困ったような笑みを浮かべた。なんだその表情は。

「呼びだされたのは、涼宮さんではありません。それに、あなたでもありません。長門さんなんですよ」

「……長門が?」

予想外の人物に思わず目を瞬かせる。当の長門はと言えば、無表情にどこかを見ているのだから考えることがわからない。とりあえず自分には関係のないことだとでも言わんばかりのその無表情に、緊迫感が薄れた。

「生徒会長が?長門を?」

「主語と述語は合っていますよ。そうです、生徒会長は長門さんを呼び出されました」

はて、長門が呼び出されるようなことが今までにあっただろうか。ヘルプ的な意味で呼ばれることはあっても、生徒会なんて物々しいところに呼ばれるような筋合いはなかったはずだが。

「生徒会長が長門さんを呼び出した理由は、文芸部の活動に関する事情聴取及び部の存続について話すためです」

文芸部?
なぜここで文芸部が出てくる、と問いかけようと口を開き、そして閉じた。そういえば、今現在SOS団が占拠しているのは文芸部室である。おまけに、文芸部室のプレートの上へA4コピー用紙の切りはしにSOS団と殴り書き貼りつけただけの簡素な主張。そりゃ、貸し出し元の文芸部員が呼び出されても不思議ではないだろう。

「で、なんでお前がいるんだ?」

「僕はいわば、メッセンジャーのようなものですよ。あちらも長門さんに言うだけでは問題が解決しないと判断したのでしょう。先に僕へ用件が回ってきました」

随分今さらという感じもするが、来てしまったものはしょうがない。確かに、文芸部に関係のない連中が文芸部室に集まって何やら不審なことをしていれば、事情を聴きたくもなるだろうさ。いや本当に今さらだがな。

「前生徒会は緩く見逃してくれていましたが、今の会長は一筋縄ではいかないようですよ」

なるほど、生徒会のメンバーによって意見も左右するからな。厳しい奴が生徒会長になって、SOS団について何か意見を出したのだろう。

「涼宮さんには内密にお願いします」

困ったような笑顔を浮かべ、古泉がひっそりとつぶやく。



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