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勝負の詳細


ここからカメラを持つ人間が変わったので多少カメラアングルがおかしなことになっているが、そこは目を瞑っていただきたい。屋上に現れたのは言うまでもなく、イツキの幼馴染の少女だった。
顔を真っ赤にしているのは、走ってきたからか恥ずかしいからかその両方からか。

「そ、その勝負、待った!」

こんな様々な事情の詰まった世知辛い勝負に自ら入りこんでくるとは、なんと勇者な幼馴染なんだろう。
いきなり飛び込んできた他校の生徒に、ミクルもユキも突っ込みを入れるより早くのんびりとした反応を返す。

「では、あなたもともに戦えば良い」

「えっ…な、長門さぁん……」

戦うという意味をわかっていない少女を案じたのだろう、ミクルが控えめにユキへ声をかける。が、勝負の世界とは非情なもので、たとえ相手が普通の人間であろうとも、一度勝負を始めれば逃げることは許されないのだ。

「何の勝負かわからないけど、イツキのことなんでしょうっ?」

「間違ってはいない」

「なら、絶対負けらんない!」

普通に考えれば、悪い魔法使い≧未来からきたウェイトレス>ただの少女という力関係から少女の負けが見えるのだが、この二人の正体に気づいているのかいないのか、少女はやたらと強気だ。

「あの、あのぉ、危ないですよぅ……」

「多少の殴り合いなら大丈夫ですっ!」

ミクルの敬語につられながら、いやそういう問題じゃないという答えを返す少女に、ユキがゆっくりと<スターリングインフェルノ>を向けた。それにいち早く気づいたミクルが、「危ないっ!」という言葉とともに少女を突き飛ばす。
迷いのない直線で<スターリングインフェルノ>から飛び出た光線が、ミクルと少女のちょうど中間あたりに落ちた。

「ひぇ……」

「いたい……」

光線に驚いたミクルと、尻もちをついて素直に痛がっている少女に、またもユキが攻撃を仕掛ける。今までのゆとりっぷりは何だったのかと思う勢いのユキに、ミクルも反撃しなければと思ったらしい。おもむろに立ち上がると、果敢にもユキに向かっていった。



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あきゅろす。
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