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操られている演技


次のミクルVSユキ戦は、湖畔の近くで行われた。いや、近くというよりは際だ。少し動いたらすぐ落ちるくらいの距離だというのに、二人はそんなところで見合っている。
そして、ここに至るまでにあった過程は省かせていただきたい。いろんな都合でな。いろいろとあれでこれなことがあって、そんなこんなで再戦と相成ったのだろう。たぶん。

「ここ、こんなことではめげないのですっ!わっ悪い宇宙人のユキさん!しんみょうに地球から立ち去りなさーいっ!……すみません」

いまいち決まらないミクルに対し、ユキはあくまで淡々としている。

「あなたこそ立ち去るがいい。彼は我々がいただく。彼はまだ自分の力の価値を理解していないが、それはとてもきちょうなものなのだ。そのいっかんとしてまず地球を侵略させていただく」

常識的に考えるとイツキ一人を拉致すればすむ話であって、そのおまけ程度に地球を侵略するというのは何かおかしな感じもするのだが、そこはアレでソレで、とにかくなんでもいいのだ。

「そそ、こっ、この命にかえても、そんなことはさせさ、させませーんっ!」

「ではその命も我々がいただこう」

あくまで淡々と続けるユキの肩に猫はいない。そのかわり、後ろに怪しげな影が三つあった。活発そうな女子高校生が一人と、途方にくれたような顔をしている男子高校生が二人だ。
男子二人はともかく、髪の長い女子高校生はミクルの知り合いであったらしい。

「つ、鶴屋さぁん……まさかあなたまで……しょ、正気にもどってくださぁい!」

「そんなカッコで正気に戻れとか言われてもなぁーっ!」

カメラが向いていることを忘れて一瞬素に戻った鶴屋さんは、いっけね、とばかりに目を細め、そのあと口元を怪しげに歪めた。

「みくるーっ、ごめんねぇ。あたしもこんなことしたくないんだけど、操られちゃってるからさぁ。ほんと、ごめんようっ」

完璧に悪びれていない顔で謝罪をして、キョンシーのような奇妙なポーズを取る。

「さあ、ミクル、覚悟しろ〜」

「ひっ」

遠目に見ればただのギャグなのだが、少なくともミクルには効果があったらしい。竦み上がるミクルに向かって、三人がにじり寄って行った。



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あきゅろす。
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