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硬い会話


とりあえずユキに自分が狙われたという危機感をいまいち感じていないのか、淡々とミクルに向かって問いかけたイツキに半ば呆れる。が、いちいちそんなことを突っ込んだところで物語りは進まない。
問いかけられたミクルはぴゃっとウサ耳を揺らせて、こわごわ口を開いた。

「え、えっと、そのぉ……」

まさかここで「あなたを見守るために未来からやってきた戦うウェイトレスです」とは言えまい。
ミクルは困ったように何度か視線をうろつかせたが、やがて意を決したようにぎゅっと目を閉じた。

「な、なな、なんでもありませぇーんっ!失礼しますっ!」

脱兎のごとく逃げ出したミクルをイツキと少女が見送る。ユキの徒歩スピードとそう大して変わらない走行を見せたミクルがいなくなってから、二人がゆっくりと顔を見合わせて、再びミクルが消えていった方向へと視線を戻す。

「…………」

「…………」

「ところで、怪我はありませんでしたか」

「ああ、うん、大丈夫」

「それはよかったです」

「イツキも大丈夫だった?」

「僕は大丈夫でした」

「それはよかった」

本当に幼馴染なのかといわんばかりの会話だし、なぜイツキは幼馴染である少女に対して敬語なのかと突っ込みどころ満載だが、一応仲良さげに微笑んでいるので心配は無用なのだろう。

「では、帰りましょうか」

「そうだね」

いまいちしまらない会話を繰り広げ、やはりぎこちない動きで二人は帰っていった。



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あきゅろす。
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