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簡単な奥の手


さて、時間の関係でそこに至るまでのいきさつが一切省かれているのだが、次はいきなりミクルとユキの対決シーンから始まる。
場所のチョイスを間違っている気がしないでもないが、対決場所は森林公園だ。また、そのシーンに何の意味があるのかはわからないが、ミクルはそこにたどり着くまで、神社で鳩と戯れていた。
待ち受けていたユキと対面するミクルは当然ながらバニー姿ではない。いささか丈の短すぎるウェイトレス姿だ。一応この姿から、もともとのミクルの正体を思い出していただければありがたい。

「い、いきますっ!」

師範代に挑む弟子のような言い方をしながら拳銃を構えたのはいいが、ここは無言で不意打ちを狙ったほうが良かったのではないだろうか。そこはまあ、ミクルの判断ということで不問にするが、その拳銃から放たれる銃弾は最初のセリフとは裏腹に、ことごとくユキの体の横を落ちて行く。
なんとかユキの体に当たる軌道のものが放たれたとしても、ユキはスターリングインフェルノ、というたいそうな名前を付けられた魔法の棒を左右に振って、必要最低限の動きでそれらを防いでいた。

「ううっ……」

早くも弾切れを起こした拳銃をぶんと振り落とし、ミクルは左手を挙げる。

「ここっ、こうなっては奥の手なのですっ!」

普通奥の手というのは、あらゆる手を出しつくしてようやく発揮するものなのだろうが、そこはヘタに突っ込まないほうがいいだろう。
挙げた左手をVサインに変えると、ぱっちりと開いた目も横に立てた二本指を押しあてる。左目は紺碧色に輝いていた。

「みっ、ミッ、ミクルビームっ!」

ネームセンスを疑うような必殺技を叫んだその瞬間、ビカーッとばかりにミクルの目から光線が飛び出す。当然ながらその光線が向かう先はユキであり、このままぼうっと突っ立っていれば当たるのは目に見えている。
だが、こちらも当然ながらユキがそのまま待つわけがない。音も立てずに飛躍すると、ミクルのビームをジュッと掴んだ。



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あきゅろす。
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