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すごい国木田くん


説明を受けたところによると、国木田くんの知り合い――中学のときの同級生の兄(遠いな)らしい――が、自分で店を開いたのだけど、その経営がうまくいっていないらしい。
それで、自分の店の商品を街頭で紹介する女の子でも雇おうか、雇えたらいいな、という話を国木田くんにしていたらしいのだ。高校でそんな女の子がいたら探してきてくれと。

「で、その、お店の商品っていうのは?」

ずずいっと問いかけた私に、国木田くんは笑顔で答えた。

「ケーキ屋さんだよ」

「………」

ケーキ屋さんっすか。
お兄さんって聞いてたからちょっと違うものを想像していた。だめだな、私は。男女差別だ。ジェンダーだ。
そうかそうか、ケーキ…。ケーキ屋さん、女の子が誰しも1度はあこがれる職業だよね。私も一瞬くらいはケーキ屋さんになりたいと思っていた。けど作るよりは食べる方が好きだからってその夢はすぐに諦めたんだった。

「ええと、あんまり働けそうに無いんだけど、何時ごろならいいかな?」

「多分、話をつけたらいつでもいいって言うと思うよ。そうだなあ、早くて5時、遅くて7時くらい?」

私はほっと胸をなでおろす。そのくらいなら、なんとかなりそうだ。部活は、1週間に1回くらいなら休んでも…いいかな。大丈夫かな。うん、とにかく考えておこう。
承諾すると、国木田くんはその場でお兄さんに電話をかけてくれた。それから敬語でなにやら親しげに話をした後、私の今後の予定を聞き、スケジュールを立ててくれる。すごい、国木田くんは社長になれるよ。何かの。

「話ついたよ。できれば詳しく話をしたいから、明日の5時に。いい?」

「おっけーです!」

ドンと来いバイト!さすがに高校3年生にもなると、1度くらいは経験があるさ。1度と言わず私は何回かバイトを経験している。俄然やる気が出てきた。



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あきゅろす。
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