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暴力化


「すぐ済みますよ。そんな確信がなぜかするんです。≪神人≫を狩るよりも楽そうだ」

問答を繰り返していた俺にそう言った古泉は、朝比奈さん、それから彼女にしがみつかれている俺、それから名前、ついでに長門に下がるよう言い、赤い球体が乗る手をふっと上げた。

「さっさとやれ」

「頑張れ、古泉くん!」

ぶっきらぼうな俺とやたら元気な名前、正反対の反応をする俺たちに、古泉は「了解しました」とにこやかに言った。それから紅玉を放り投げ、バレーボールのサーブよろしく叩きつける。横で「なんかバレーやりたくなってきたな」と呟いた名前の発言は一応無視しておいて、俺は古泉の一挙一動を(とても不本意だが)見守った。
カマドウマは攻撃をくらって、反撃をするわけでもなくそこでじっとしている。あれだろうか、痛みに耐えかねて静かに悶えている状態とか、そんなのだろうか。

「終わりですか?」

古泉の問いかけに、長門がわかりづらい首肯をし――かけた、ときだった。ふっと長門の纏う空気が重くなり、古泉の表情が険しくなる。一番変化があったのは名前だった。「どうして…?」小さな、俺に聞こえるか聞こえないか程度の声で呟いている。

「な」

「これで終わりじゃないの!?」

名前の発言から、書籍化されたものでは今の一撃で終わりだったのだろう。今目の前で起きている事実に、名前はひどく慌てているようだった。ギギギ、と虫特有の音を出し、かすかに体を動かす。

「キョン、みくるちゃん、逃げて!」

ほぼ俺を突き飛ばすように押してきた名前めがけて、動かなくなったはずのカマドウマが突進をしてきた。




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