[携帯モード] [URL送信]
部長氏の身の安全


昼飯がまだの状態のまま、俺たちは一度解散したふりをして、再び部長氏のマンションの前に集った。体調が悪かったと思っていた名前は、部長氏の部屋から出た瞬間に回復したのだが、やはり部屋が悪いのか。

「なあ、名前」

「なに?」

「部長氏は、生きてるんだよな?」

「へ」

我ながら何を聞いているんだろうと思ってしまった。
ただ、俺の頭の中には閉鎖空間と似たような感覚、という言葉がずっとリピートで流れ続けているのだ。閉鎖空間――神人が蔓延る空間に、なんの力も持たない部長氏が行けば、何も出来ないだろう。最悪死ぬなんてケースも考えられる。いや、まだあそこが閉鎖空間だと決まったわけではないのだが。
名前は数回瞬きを繰り返すと、俺の目をじいっと見つめてきた。丸い瞳が俺を見つめて、なんだかいやに恥ずかしくなって俺は後退る。

「珍しいね」

「あ?なにがだ」

「キョンが、私に聞くなんて。いっつも聞きそうで聞いてこなかったからさ、なんか不思議」

「……そういえば、そうだな」

まあ、いつもは俺たちの中での問題だったからな。
ただ今回は、部長氏という全くSOS団に関係の無い…いや、ある意味関係があると言えばあるのだが、そんな人が主要人物となっているのだから、身の安全くらい確認しておきたいじゃないか。
名前はくすっと笑みをこぼし、軽く頷いた。俺は反射で安堵の溜息を吐く。

「…生きてるのか」

「うん、大丈夫。死んでなんかないよ。でもこれ以上は言えないから、聞かないでね」

「ああ」

のんびり歩いていると、部長氏のマンションの前に着く。既に俺と名前とハルヒを除いた部員は全員集合していた。




前*次#

8/21ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!