部長氏の身の安全
昼飯がまだの状態のまま、俺たちは一度解散したふりをして、再び部長氏のマンションの前に集った。体調が悪かったと思っていた名前は、部長氏の部屋から出た瞬間に回復したのだが、やはり部屋が悪いのか。
「なあ、名前」
「なに?」
「部長氏は、生きてるんだよな?」
「へ」
我ながら何を聞いているんだろうと思ってしまった。
ただ、俺の頭の中には閉鎖空間と似たような感覚、という言葉がずっとリピートで流れ続けているのだ。閉鎖空間――神人が蔓延る空間に、なんの力も持たない部長氏が行けば、何も出来ないだろう。最悪死ぬなんてケースも考えられる。いや、まだあそこが閉鎖空間だと決まったわけではないのだが。
名前は数回瞬きを繰り返すと、俺の目をじいっと見つめてきた。丸い瞳が俺を見つめて、なんだかいやに恥ずかしくなって俺は後退る。
「珍しいね」
「あ?なにがだ」
「キョンが、私に聞くなんて。いっつも聞きそうで聞いてこなかったからさ、なんか不思議」
「……そういえば、そうだな」
まあ、いつもは俺たちの中での問題だったからな。
ただ今回は、部長氏という全くSOS団に関係の無い…いや、ある意味関係があると言えばあるのだが、そんな人が主要人物となっているのだから、身の安全くらい確認しておきたいじゃないか。
名前はくすっと笑みをこぼし、軽く頷いた。俺は反射で安堵の溜息を吐く。
「…生きてるのか」
「うん、大丈夫。死んでなんかないよ。でもこれ以上は言えないから、聞かないでね」
「ああ」
のんびり歩いていると、部長氏のマンションの前に着く。既に俺と名前とハルヒを除いた部員は全員集合していた。
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