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Secret meeting



 目当てのCDを購入することができ、上機嫌の花村と駅に向かう。視聴だのなんだのとしていたら、結局日が落ちる時間帯になっていた。
 そう言えば、彼女はどうしたのだろう。暗くなってから帰るのでは危ないだろうからと、まるで父親のような心配をする。彼女にとってはいらないお世話かもしれないが、少し心配だった。

「あ」

 目の前を歩いていた花村が立ち止まり、小さな声を上げる。下を向いて歩いていた俺は、同じく立ち止まって顔を上げた。花村の視線を追うと、その先に誰かが立っている。さらに少し視線をずらすと、その人物にピントが合った。

「あ……」

 思わず俺も声が出る。
 立っていたのは、あの少年だ。昼過ぎ、彼女と一緒に歩いていた。だが、その傍らに彼女の姿はない。もうすでに帰ったか、一度解散してここで集合でもするのか。――自分で考えておきながら、後者はないだろうなとぼんやり思う。
 少年はまるで俺たちを知っているかのように、こちらを見ている。そして、俺と目が合うと、何を考えているのかはわからないがにこりと微笑んだ。マニュアル通りのような、自然ではない笑み、のようにも見える。少なくとも、俺は好きではない。ただ少年は、俺に好かれようが嫌われようがどうでもいいとばかりに、その笑みを浮かべ続けている。
 なにか、言おうと思った。とりあえず目の前の少年へ、声をかけようと。だが言葉が浮かばない。どう声をかければいいのかわからない。そう思う俺をあざ笑う、わけでもないが出し抜くように、少年が口を開いた。

「今、時間ありますか?」

 やはり、幼さの残る声。中学生かそこらだろう。彼女とほとんど背丈は変わらなかったが、顔立ちにも幼さが滲んでいる。しかし少年の口から飛び出たのは、いやに丁寧な質問だった。

「え……」

「苗字名前さんのことで、お話があるんですけれど」

 少年の笑みが一瞬消えて、言うなり、すぐまた浮かぶ。
 時間、ありますよね?と、彼は笑みを濃くした。




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あきゅろす。
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