水に溺れた淡水魚
「ほんま謙也は白石にべったりやな」
クラスメイトに言われた何気ない一言だった。
確かに俺たちは四六時中と言ってもいいくらい一緒にいる。
クラスが一緒で部活も同じ。
授業中や部活中だけではなく授業の合間の休憩の度にそばに行って、昼も一緒に昼食。
トイレまで一緒に連れ立つ女子ならともかく、男子では珍しいだろう。
ただクラスメイトたちにはそのように写ったのかもしれないが、語弊がある。
謙也が俺にべったりなのではない。
俺が謙也にべったり、なのだ。
携帯電話のリダイヤル、つまり俺からの履歴には謙也の名前がびっしり。
謙也に異常なまでに依存しているのは、俺。
「だって白石だいすきやもん」
な、と笑う謙也。
主語の含まれない言葉。
誰が、とは言ってない謙也。
そう「俺が」「謙也を」だいすき、なんだ。
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[ 水に溺れた淡水魚 ]
依存する蔵謙蔵
謙也が微黒
20100325
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