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Know
Target 7:Sette



Target 7



『―――桃…』


誰…?誰が呼んでるの?


『僕は貴女が気に入りました。
貴女とは、またいずれ…近いうちに会えます』


何を…言ってるの?
頭が真っ白になっていく…



「桃…桃!」


あたしは、ディーノさんの声で目を覚ました。


―――今のは、夢―――?


あの甘ったるく、変な寒気がする声。
姿は見えなかったけど、あたしは声の主を知ってる。

六道骸―――夢に出てきてまで会う事になるなんて。


「すげぇうなされてたぞ。
大丈夫か?」


「あ…うん」


あたしが言うと、ディーノさんは少し安心した表情になった。


「そっか。ベーコン焼いたから、食べるか?」


「うんっ」


あたしはベッドから出て、ディーノさんと、階下に向かった。


「おはようさん」


台所では、ロマーリオさんが朝食の支度をしてくれていた。
あたしは「おはようございます」と返すと、冷蔵庫から昨日ツナママにもらったビーフシチューを出して温める。
ただ、雲雀さんの事を思うと学校に行くのは気が進まなかった。


「これ食ったら、早速特訓始めるぞ」

「え、もう?」

「リボーンに桃の事を頼まれてるからな」


そう言ってディーノさんは笑った。











登校の支度を済ませたあたしは、ディーノさんと一緒に公園にいた。


「まずは、反射神経を高める為に、俺のムチをよけるんだ。
10回連続で避けられたら合格。
言っとくが、現役のヒットマンも避けるのは難しいくらいだからな」

「わ…わかった」

ディーノさんの足が地面を蹴る。
あたしは向かって来たムチを反射的に避けた。

その動きは俊敏且つキレのあるもので、ディーノさんの強さがなんとなく分かった。


「反射神経、動体視力はそこそこみたいだな」


戦闘に関しては素人のあたしだ。
数分も経たず体力が尽きて来る。


「っは…はあ…」


その時ディーノさんが、攻撃をやめた。


「…最初にしちゃよくやったな。
お前の一番の課題は体力って所か?」

「そう…ですね…」

「そろそろ8時だし、今日はこれ位にしとくか」

「あっ、ありがとうございました!」











その足で学校へ向かう。


「九条桃」


校門をくぐろうとした時に聞こえた、低い声。
背筋が凍るような感覚さえする。


「雲雀先輩…お、おはようございます」

「先輩はいらない」

「………雲雀さん」


一刻も早く、この場から去りたい。
雲雀さんは漫画の中で見るのが一番いいみたい。


「来なよ」


有無をいわさぬまま応接室に連れて行かれる。
雲雀さんの示すままにソファに腰をかけると、雲雀さんはその"隣"にドカッと座った。


「雲雀さん…何の、ご用ですか?」


声が震えてるのがわかった。


「咬み殺さないよ、今はね」


瞬間、世界が反転した。
目の前には雲雀さんの顔、手首には熱の塊―――雲雀さんの手。
そして、脚に絡まった雲雀さんのそれ。

目にも留まらぬ程の速さで、あたしはソファに組み敷かれていた。
ハッカの香りのする雲雀さんの吐息が、頬に、髪にかかる。
本当に咬み付きそうな眼は、獲物を前にした肉食動物のものだった。


「…ひ…ばりさ…」

「君、変わってるよね。
僕に意見した草食動物は初めてだよ。
こんなにも弱い小動物のくせに」


心臓の鼓動が煩い。
捕まれた手首からそれが伝わってしまいそうで、鼓動を止めるように手を握り締めた。


「…離して…離して下さい…っ…」


雲雀さんはギシギシとスプリングの音を立てながら、口の端をつり上げる。
それがやけに色っぽくて、あたしは目を反らした。


「ひ、ばり…さっ…」


あまりの力の強さに、私は涙をポロポロと流して訴える。
手首が千切れそうだ。
すると不意に拘束が解かれる。


「やっぱり弱いな…つまらない。
行っていいよ。
ただし、昼休みと放課後も来る事」

「―――し、失礼します…」


私は応接室を出ると、教室に向かって全速力で走り出した。



ズキズキと、痛む




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